メスター総裁、利下げを急ぐべきでない-金融政策は良い位置にある
(ブルームバーグ): 米クリーブランド連銀のメスター総裁は17日、米金融政策は良い位置にあるとした上で、利下げを急ぐべきではないとの見解を示した。
同総裁はインフレ率がさらに低下するとなお予想しているものの、当局の目標である2%に回帰すると確信するためにはもっと多くのデータを見たいと述べた。好調な経済と堅調な労働市場が金融当局に政策で辛抱する余地を与えていると説明した。
メスター総裁はオハイオ州チャグリン・フォールズで開かれたイベントで、「私はインフレ率が下がるとなお予想しているが、行動を起こす前により多くの情報に注意を払い、集める必要があると思う」と語った。
メスター総裁は今月、年内3回の利下げが適切となる可能性が高いとの見方を示したものの、これは「際どい判断」だと述べていた。同総裁は今年、連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を持っているが、6月の任期満了をもって退任する。
一方、米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事はワシントンでこの日開かれた別のイベントで、インフレの減速が停滞している可能性があると述べ、金融政策による景気抑制効果の程度に疑問を呈した。
同理事は「もし政策が十分に景気抑制的だったなら考えられないような金融市場の動きや成長持続が目立つ」とし、「私は景気抑制的だとはみているものの、十分に景気抑制的かどうかは時がたたなければ分からない」と語った。
政策当局者らは昨年7月以来、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.25-5.5%に据え置いており、利下げを急がない考えを示してきた。3月の消費者物価指数(CPI)統計で変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数が3カ月連続で市場予想を上回る伸びとなったことから、インフレ率の2%到達には、これまで考えられていたよりも時間がかかるのではないかとの懸念が強まっている。
パウエルFRB議長も16日、予想を上回るインフレ統計が続いたことを受け、金融当局が利下げ実施まで待つ期間は以前の想定よりも長くなるとの認識を示唆。物価上昇圧力が根強く続いた場合は、金融当局は「必要な限り」金利を据え置くことが可能だと述べた。