人の熱が好き、動物限定、蚊の好み様々 マラリア撲滅めざすインドネシア
ある晩、調査員たちによる蚊の採取に同行した。一概に蚊といっても相当な種類があり、それぞれ嗜好も違うらしい。人の吐き出す二酸化炭素に惹かれるものや熱に惹かれるもの、また牛などの動物は刺すが人間には寄ってこないものなど様々だ。 陽が暮れて、蚊の活動が活発になる頃に採取が始まった。調査員たちは、なんと自らの体を寄せ餌として蚊をおびき寄せるという。庭先に腰を下ろした彼らは、ズボンを膝までまくり上げて、蚊が寄ってくるのをじっと待つ。蚊が脛(すね)に止まったわずかな感触があると、刺される前に素早く細いパイプを使って吸い上げる。なかなか経験のいる技に見えるが、やはり慣れないうちはうまくいかないようで、刺されてマラリアにかかってしまう者もいるらしい。
少しリスクが高すぎるようにも思えるが、これが一番効率のいい採取法だという。まさに我が身を犠牲にする覚悟の「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の精神に感心してしまう。 (2014年10月撮影)