堀米雄斗・スケートボード「地獄のように苦しい日々だった」──ヒーロー・オリンピアンに学ぶ
大技に込めた3年間の思い
決勝では2、3、4回目と失敗、競技の合間の練習でも一度も成功しなかったというあのトリックには、3年間の思いが込められていたのだ。だからこそ、最後まで諦めずに挑んだ。「点差もわからなかったし、イヤフォンを着けていたけれど音楽は聴いていませんでした。これが最後だという吹っ切れた気持ちもあって、トリックだけに集中できました」 こうして、見事に連覇を果たしたいま、次の目標はなにか。「子どもの頃はアメリカでプロになることを夢見ていて、その憧れの場所で次のオリンピックがあるわけですから、絶対に出たいですね。もうひとつ、日本でスケートボードの文化をより多くの人に理解してもらうには、金メダルが大事であると肌で感じています。そういう意味でも、自分にとってオリンピックは大事な大会なんです」 自分のためだけでなく、スケートボードを広く知ってもらい、日本に根づかせるためにも、堀米雄斗は戦っているのだ。
YUTO HORIGOME スケートボード選手。1999年生まれ、東京都出身。父親の影響で6歳から滑り始め、15 歳の時にアメリカで行われた大会に出場して注目された。2016年にアメリカ西海岸に拠点を移し、国際的な大会で活躍。スケートボードが初採用された東京五輪で、初代金メダリストに輝いた。 PHOTOGRAPHS BY YUSUKE ABE YARD STYLED BY HIDERO NAKAGANE HAIR STYLED BY AMANO WORDS BY TAKESHI SATO