世界経済を混乱させる「供給制約」はそう簡単に解消しない
アメリカやイギリスで労働力不足が顕著です。ほかにも世界的な半導体不足や商品市場の高騰が伝えられています。こうした問題は一時的なものなのでしょうか(写真:kou / PIXTA)
IMF(国際通貨基金)は10月の経済見通しで、世界の成長率見通しを7月時点の6.0%から5.9%に引き下げた。下方修正の原因について「供給網の混乱による先進国の見通し下方修正と(新型コロナウイルスの)デルタ株の感染拡大による途上国の見通し下方修正」と述べている。 「供給網の混乱」という言葉で、多くの人が連想するのは、アメリカ西海岸のコンテナ港の混雑だろう。ロサンゼルス港やロングビーチ港では、クリスマス商戦向けの貨物が中国から続々と到着し「輸入急増と港の荷役労働者不足」により、コンテナ港が史上最悪の混雑に直面していると言われている。 アメリカの消費急拡大で中国からの輸入が処理できないほど多くなっているのではないかという考え方があるかもしれないが、直近9月のアメリカの対中輸入金額は474億ドルで、2020年9月の412億ドルに比べると多いが、コロナ前のピークだった2018年9月の522億ドルに比べると少ない。 普通なら混雑しないはずの量で港が混乱するのは、単に輸入量が多いからではなく、言われているように、港の荷役労働者不足といった供給面の問題が大きい。
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新見 未来