黒木華「芝居が終わったら台本は全部捨てる」 一方、役所広司は「読み返さない、でも…」
役所:難しかったんですよ。どうすればいいんだろう?と悩んで、やりながら「あ、自分で物語を作らなければいけないのか」と気づいた。脚本には書かれてないけれど、その人物が巡ってきた道や、いま何を考えているのかを自分で作ってそこに立っていればその「間」が無駄な間ではなくなる。そこに「存在する」ことができるんだと。 黒木:役所さんが役を演じるうえで一番大事にしていることはありますか? ■“自然”が一番難しい 役所:やっぱり「こんな人いるな」っていう感じにすることかなあ。自然、っていうのが一番、難しいと思うんですけど、観ている人が生きてるその人を「のぞき見しているような」感じになってくれるといいなと思ってやっていますね。それでもそこにキャメラがあって芝居をやらなきゃいけないんだけれど、キャメラに縛られないことも大事かなと思っています。自分がそこにいて、それを撮ってください、というような。顔が見えてなくても、言葉だけ聞こえていても、とてもいいセリフが心に残る時ってあるじゃないですか。そんな感じです。 黒木:たしかにそうですね。ありがとうございます! (構成/フリーランス記者・中村千晶) ※AERA 2024年10月21日号
中村千晶