ヒットメーカー達が真正面から取り組む『海に眠るダイヤモンド』を考察
3人のヒロインがどう現代につながるかの謎
第1話では、鉄平たちと、端島にやってきたリナ(池田エライザ)との出会いが描かれた。過去を語りたがらない彼女は仕事を求めて端島を訪れ、女給として働くが、鷹羽鉱業の三島(坪倉由幸)からセクハラ(という言葉もない時代だが)に遭い、水をぶっかけてクビになってしまう。鉄平はかつて進駐軍のクラブで歌っていたというリナに端島の人々が愛する「端島音頭」を歌わせる。これによって無事リナはそのまま端島にいつづけられることになった。リナを探して走り回り、端島に住む大勢の人々を動かす鉄平の主人公感が気持ちいい。 リナ、鉄平に想いを寄せる銀座食堂の朝子(杉咲花)、鉄平の親友・賢将(清水尋也)とつきあっているらしい百合子(土屋太鳳)。いずれも主役級のヒロイン3人が並ぶ。鉄平と3人の関係がどうなっていくかも気になるが、やはり現時点で最大の謎は、現代のいづみがこの3人のうちの誰か、というところだろう。鉄平と玲央とは本当にただ似ているだけなのか、何らかの関係があるのかも、今後明らかになっていくに違いない。
クセ強め!現代パートのキャスティング
現代パートで気になるのは、いづみの周りの人々のキャスティングだ。秘書の澤田に酒向芳、池ヶ谷家の長男である和馬に尾美としのり、その姉・鹿乃子に美保純、鹿乃子の夫に宮崎吐夢。このクセの強い役者たちが、現代でどう活躍していくかも、今後の楽しみのひとつだ。 このドラマがスタートするにあたっての取材で、野木は「小さなところに人がぎっしりと住んでいる端島の姿は、日本そのものにも重なる」と語っていた。昭和の端島の暮らし、そこに住む人々の愛と友情、家族の姿を通じて、いまの日本が透けて見えるかもしれないと思うと、今後の展開に期待が募る。 ●番組情報 日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS) 脚本_野木亜紀子 演出_塚原あゆ子、福田亮介、林啓史、府川亮介 プロデュース_新井順子、松本明子 出演_神木隆之介、斎藤工、杉咲花、池田エライザ、清水尋也、土屋太鳳、宮本信子 他 音楽_佐藤直紀 主題歌_King Gnu『ねっこ』 U-NEXTにて全話配信中(有料) ●釣木文恵/つるき・ふみえ ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。 ●オカヤイヅミ 漫画家・イラストレーター。著書に『いいとしを』『白木蓮はきれいに散らない 』など。この2作品で第26回手塚治虫文化賞を受賞。趣味は自炊。 Edit_Yukiko Arai
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