【独自解説】“統一教会”高額献金返金訴訟で「『念書』は無効」の判断 他の訴訟や解散命令への影響は?専門家「これは画期的な判決」
しかし、一審、二審ともこの念書を有効と認め、中野さん側の訴えを棄却。この裁判の途中で、母親は亡くなりました。
ところが この後、状況は一転します。安倍元首相の銃撃事件をきっかけに“統一教会”に関する数々の問題が発覚し、献金をめぐる念書についても国会で議論されました。
岸田首相は、「賠償請求させないための『念書』が逆に違法性と賠償を認めやすくする要素になる」と発言。6月、最高裁は結論を変えるのに必要な手続きである「弁論」を開きました。これによって判決が見直される可能性が出てきたのです。
7年に渡る戦い…最高裁は「『念書』は無効と判断」その理由と今後の影響
そして7月11日、一審から7年に及ぶ裁判で、最高裁は「『念書』は無効と判断」し “統一教会”勝訴とした二審判決を破棄しました。
Q. 「念書」は無効という判断はどう言う理由なのでしょう? (亀井正貴弁護士) 「『念書』を無効とさせた理由が大事なんです。例えば『念書作成時に認知症などによって適正な判断ができなかった』という理由ですと、ほかの訴訟で『この人はダメでこの人は良い』ということが起きるのですが、今回は『公序良俗に反するので無効』と言っています。『詐欺によって騙されたから取り消す』というのではなく、『そもそも公序良俗に違反する行為である』と、そこだけでアウトになってしまうんです。ですから、ほかの人に対する影響が大きいんです」 Q.訴えている他の人への適応の可能性もあるのですか? (亀井弁護士) 「私も注目していましたが、『意思の瑕疵(かし)』によって無効にするのか『公序良俗』に反して無効にするのかは、かなり大きな違いです。波及効果が大きいんです。『公序良俗』に反するということになると救済できる範囲も大きくなりますので、これは画期的な判決だと思います」
「信者による献金の勧誘行為の違法性」に関しては、「本件を原審に差し戻すこととする」というような判断が出ました。 Q.これに関しても、これまでの“統一教会”の主張が取り消されたということでしょうか? (亀井弁護士) 「勧誘行為自体が社会通念を超えるようなものなのか?という問題なのですが、『それを判断するにはいろんなことを考慮しなければいけない』と言っています。高裁や地裁はいろんな事情までは考慮していないので、『高裁に差し戻すので考慮して判断しろよ』という風に言っています」
Q.“統一教会”のしていることが明るみに出て、首相の答弁や政府の解釈などいろんなものが今回の最高裁の判断に入っていると言えないでしょうか? (亀井弁護士) 「間違いなく入っています。通常の民法の解釈ではなく、“統一教会”の問題性を繰り入れて判断したと思います」 Q.解散命令請求の訴訟も継続中ですが、そこにも影響しますでしょうか? (亀井弁護士) 「影響してくると思います」 (「情報ライブミヤネ屋」2024年7月11日放送)
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