シャトレーゼ菓子にも混入した「カメムシ」がマンションでも大量発生 天井裏にびっしりとついていたケースも…
菓子大手のシャトレーゼが7日、商品にカメムシが混入した事案についての謝罪文を公表した。同社は混入した経緯について「偶発的」としているが、全国的にカメムシが大量発生している今年、その影響は屋内にまで及んでいるようだ。専門業者によると、気づかぬうちに家の中で大繁殖していた……という身の毛もよだつ事態も起きかねないといい、対策を聞いた。 【閲覧注意】カメムシが大量発生するとこうなる… * * * 今回カメムシが混入したのは、シャトレーゼが製造・販売する「揚げ餅 焼きとうもろこし(小袋)」。報道によると、袋の中にはカメムシが丸々1匹と、折れた足が入っていたという。購入した客が10月4日にお客さま相談窓口に連絡したことで、事態が発覚。同社は調査の結果、包装工程において混入した「偶発的事案」と判断している。 今年は、全国各地で異例のカメムシ被害に見舞われている。農林水産省によると、10月8日時点で38都道府県が「果樹カメムシ類の警報・注意報」を発表。その回数は61回と過去10年で最も多く、梨や柿などの果物農家や米農家に深刻な被害が出ている。 一方、前述のシャトレーゼの工場で異物混入事案が起きたように、屋内に侵入してくるカメムシに悩まされる事業者も少なくない。建物のメンテナンス業を営む「ジェット」(福島県)で害虫駆除などの業務を担当している星野大さんによると、今年はカメムシの駆除依頼が例年の2~3倍に増えているという。 「はっきりとした背景要因は分かりませんが、今年は緑色のツヤアオカメムシが大発生していて、旅館やスキー場、企業の保養所などから対策を依頼されます。田舎だと、カメムシの1匹や2匹程度なら自分でティッシュに包んで捨てる人も多いですが、建物の壁面にびっしり張り付いているなど、手に負えない状況になっている現場も珍しくありません」
■冬眠に向け、動きを活発化させている カメムシの侵入経路は多岐にわたる。白い色に寄って来る習性があるため洗濯物にくっついたまま取り込まれてしまうこともあれば、室内の明かりに誘われて換気扇やエアコンの室外機を通じて入って来ることもある。窓を閉め切っていても、サッシに2ミリ程度の隙間があれば通り抜けられるため、工場のような衛生管理に厳しい施設であっても侵入を完全に防ぐことは至難の業だ。 周囲に野山や畑などの緑がなくても、油断はできない。カメムシは、街なかの公園やベランダのプランターにも住みついており、マンションをはじめ都市部の建物で被害が出ることもあるという。 さらに厄介なことに、冬へと向かうこの時期、カメムシたちは冬眠に適した暖かな場所を探して、動きを活発化させている。前出の星野さんによると、「部屋によくカメムシが出る」という相談を受けて天井裏を確認したところ、何十匹ものカメムシが集団で身を寄せ合っていたケースも少なくないという。 「天井裏が発生源であれば、くん煙タイプの殺虫剤をまいて駆除します。ただ、卵を産みつけられていた場合、卵に殺虫剤は効かないので、翌年の春にいっせいに孵化(ふか)して再び大量発生が起きてしまう。秋に駆除したら、幼虫が出てくる春にもう一度駆除することがポイントです」 自分でできる対策としては、窓枠など「2ミリの隙間」がありそうな場所に忌避剤をスプレーしておくのが効果的だ。それでも部屋の中で見つけてしまったら、なるべく刺激を与えずに回収すること。カメムシは危険を察知すると、威嚇(いかく)として悪臭を放つ。その臭いは自らがショック死することもあるほど強烈なため、他の虫同様に掃除機で吸おうものなら、掃除機内に臭いが染みついて二度と使い物にならなくなる。ガムテープなどでそっと捕獲し、密閉して処分するのが得策だ。 人間にとって困った習性をいくつも持つカメムシ。大量発生した今年にこそ、しっかりとした対策を実践しておきたい。 (AERA dot.編集部・大谷百合絵)
大谷百合絵