EVバッテリー診断技術開発 劣化度、迅速に評価 福島県いわき市の東洋システム
二次電池の試験評価装置メーカー東洋システム(福島県いわき市)は、電気自動車(EV)のバッテリーの劣化度を短時間で正確に診断できる技術を開発し、実用化に向けて実証実験を進めている。迅速な性能評価を可能にすることでEV市場の活性化につなげるとともに、より劣化の少ないEV運用の仕方を提案して脱炭素化に貢献する。 バッテリー劣化診断システム(BLDS=ビルズ)と呼ばれる技術で、EV充電時の電圧や温度など車両に記録されるデータを集めてスマートフォン経由でクラウドに送る。独自の演算でバッテリーの劣化状況を診断して数値化する。約30秒で診断でき、結果はウェブ画面上で確認できる。 同社によると、中古のEVバッテリーを迅速かつ正確に診断する技術は普及しておらず、EV中古車市場の発展やバッテリー再利用のネックになっているという。BLDSがこの課題の解決に貢献すると期待される。東洋システム研究開発部担当の庄司真弘取締役は「この技術で適正な中古EVの査定が実現すれば、市場の活性化にもつながる」と話す。
実証実験は1月末から行っている。専用の機械でEVバッテリーの正確な容量を計測し、次にBLDSで劣化度を診断する。事前に計測した正確な容量と診断結果を比べ、BLDSの信頼性を確認するのが実証の狙いだ。EVをどう運用すればバッテリーを長持ちさせられるかを知るため、EVの運用状況の違いと劣化度の相関も調べている。 実証のため、社用車にEV導入を進めるNTT東日本福島支店と同支店の車両調達を担う日本カーソリューションズが協力し、業務で普段使っているEV4台を提供した。