文化観光の振興に著名人の力を活用 中国
【東方新報】肖戦(Xiao Zhan)や王一博(YiBo)のような中国のスーパースターを招いて故郷を紹介してもらうなど、最近、中国の文化観光局の間で激しい競争が始まっているようだ。 これまでのところ、湖北省(Hubei)、山東省(Shandong)、河北省(Hebei)、吉林省(Jilin)などが、俳優の朱雲龍(Zhu Yilong)や黄暁明(Huang Xiaoming)のような観光大使を見つけている。河南省の省レベルの文化観光局は、1月10日以来、新浪微博(Sina Weibo)などのサイトに1日あたり20~30本のプロモーションビデオを投稿している。河北省は中国トップ女優の趙麗穎(Zhao Liying)をプロモーターとして招聘(しょうへい)している。 このような地方の観光機関は、なぜ突然「必死に」アピールするようになったのだろうか? その疑問には明確な答えがある。2月上旬の春節(旧正月、Lunar New Year)休暇シーズンが近づいているからだ。観光市場アナリストの朱家明(Zhu Jiaming)氏は、この時期を「年に一度の黄金の旅行ピーク」と表現している。 「この時期の市場成長は通常の3倍にも跳ね上がる。見逃すことのできないチャンスだ」と、朱氏は環球時報(Global Times)に語った。 一人でも多くの観光客を受け入れることが観光地の共通の目標であるならば、なぜプロモーション戦略として人気のある有名人を起用するのだろうか? この疑問に対する答えは簡単で、スーパースターはソーシャルメディアですぐに閲覧数を稼ぐことができるからだ。例えば、15日に俳優の肖戦が故郷の重慶市(Chongqing)を宣伝するために投稿した動画は約1億2000万回再生され、トレンドトピックとなった。この動画の人気が高まったのは、ネットユーザーがファングループに投稿したのがきっかけだ。上海市に住むファンの陳夢熙(Chen Mengxi)さんは取材に対し、「西安市(Xi'an)と長沙市(Changsha)にいる知り合いのファンとリンクを共有しました。すでに重慶市へのツアーグループを結成し、8人ほどが参加しています」と語った。 観光を盛り上げる「有名人戦略」が強力に見えるもう一つの理由は、「観光成長の少なくとも40パーセント」を占める消費者グループである若者の興味を即座に引くことができるからだと、朱氏は話す。王一博のような有名人が「洛陽市(Luoyang)で待っています」と話すのは、観光客とスターの間に親密なつながりを築こうとする巧妙な心理作戦のようだ。「洛陽を訪れることにしたのは、王一博が育った場所を見たいからだ」とネットユーザーが新浪微博に投稿している。 スターパワーの観光産業への貢献は確かに重要だが、最も重要なのは、都市や地方が有名人の名声によってもたらされたすべての観光客を受け入れる準備が十分にできているかどうかである。 言い換えれば、すべての観光地は観光資源や施設、そして観光客に対応するサービスの質を向上させることにもっと注意を払うべきである。観光地の真の発展は、それを促進しようとするスター・パワーの価値に見合うものでなければならない。 過ぎ去った2023年のように、2024年も中国の観光産業は再び活況を呈しそうだ。中国観光研究院が明らかにしたデータによると、2024年の国内観光客数は60億人、国内観光収入は6兆元(約123兆円)を超えると予想されている。 「2024年の巨大な有望市場から、新たなプロモーション戦略やパターンが生まれると予想しています」と朱氏は語った。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。