ジワジワくる宇宙人「ショウキラン」|植物ライター・成清 陽のヤマノハナ手帖 #38
マニア心をくすぐるクチビル♡
このアゴ、専門的には「唇弁」というパーツでして。何やら柔らかな曲線を描くだけに目を引き、園芸家に「Amazing♡」と言わしめるポイント。いっぽうで、ブキミなポイントにも見えるという……つまり“怖いもの見たさ”的なポジションなわけです。この唇弁は、昆虫の発着所としての役割を果たすパーツ。虫たちにとっては、ココがある意味で「ここに来てね! 」という来店看板に見えているのでしょうね。ちなみになんの店の看板かって……オカマバーかな(とことん失礼)。
グリーンリーフは皆無ですっ
さて、ショウキランはほかにも触れなくてはならないお約束テーマがあります。それは「腐生ラン」であること。いわゆる植物とは違い、葉もなく緑色のパーツが……ありません!! だからこそ、グロテス…おっとっと、異彩を放っているワケ。なお、この植物体は枯れるとドロドロに溶けてなくなり、翌年咲くかは不明だそう…(グロッ)。思わず出ちゃうホンネ、お許しを☆。
ではショウキランさん、ひと言どうぞ
とっても背が低いショウキラン、たぶんこういう正面カットはめずらしいのでは。そして見れば見るほど、ふてぶてしく語りかけてくるエイリアンに見えませんか~? 「あーあー、テステス。オレ通りがかりの宇宙人だけどさ、明日から地球征服すっから。ヨロシク~」とかセリフつけたくなる。あと、目玉もどっかにつけちゃおうか(笑)。よく見ると、花粉塊や雌しべのような黄色いパーツも見えますが……昆虫、ここに飛び込むなんて勇気あるなあ…と思ってしまうのでした。 さてさて、今回ご紹介してきた、ショウキラン。いかがでしたでしょうか? じつに興味深いことに、ショウキランの開花場所は一定ではなく、毎年「森のどこかに咲く」という浮浪者、もとい放浪の民。なかなか思わせぶりなところが、野草ファンにも人気なんですねー。ちなみに私、グロ……と発言したわりに、レアいところがけっこう好み。また来年6月、乗鞍か尾瀬で会えないかな~と、楽しみにしているのでした。 それでは、また。 みなさまのココロに、すてきな花が咲き誇りますように。 写真◎成清陽
ランドネ編集部