湯涌ぼんぼり祭り、善意の花咲く 浅野川水害復興、能登に恩返しライブ
●3100人が熱気 金沢市湯涌温泉を舞台のモデルにした人気アニメ「花咲くいろは(花いろ)」にちなむ第12回湯涌ぼんぼり祭り(北國新聞社後援)は19日行われ、普段は静かな山あいの温泉街がファンら約3100人の熱気に包まれた。祭りは2008年の浅野川水害からの復興をPRしようと始まった経緯があり、今年は当時受けた支援の恩返しとして地震と豪雨に見舞われた能登を応援するチャリティーライブも開催。金沢の奥座敷に善意の花を咲かせた。 【写真】チャリティーライブで盛り上げるナノライプ=同市湯涌小・芝原中 チャリティーライブは午後3時に湯涌小・芝原中の体育館で開演した。花いろの主題歌を担当したバンド「nano.RIPE(ナノライプ)」が出演し、登場キャラクターを演じた声優の伊藤かな恵さん、小見川千明さんが司会を務めた。会場に募金箱が設けられ、金沢湯涌みどりの里では能登豚の串焼きや能登牛のステーキが販売された。 メイン行事のぼんぼり巡行は午後6時半ごろに始まった。作中のシーンにならい、願い事が書かれた「のぞみ札」を納めたかごを住民が担いで練り歩いた。湯涌稲荷神社で神事が営まれ、玉泉湖畔でのぞみ札がたき上げられた。 来場した茨城県守谷市の会社員長田祥さん(29)は「ぼんぼりがきれいで来て良かった。能登は好きな場所なので、寄付するなど離れたところからもできる支援を続けたい」と話した。 同祭り実行委員会によると、16年前の浅野川水害では湯涌温泉の総湯「白鷺の湯」のほか、6旅館が浸水被害で休業。県内各地から大勢のボランティアが連日駆け付け、白鷺の湯は水害から2週間で営業を再開するなど復旧は速く進んだ。 花いろにも能登の風景が登場する縁で、ファンの中には能登半島地震や奥能登豪雨の被害に心を痛めている人も多く、今年の祭りに復興イベントを盛り込むことにした。 実行委員会の山下新一郎委員長は「県外の人に被災地について考えてもらう良い機会になった。一人一人の力は小さくても、団結して復興を支援していきたい」と話した。