ロシア軍が「すべて民生車両」の突撃 装甲車不足いよいよ顕在化
ロシア軍は車両不足が顕在化する一方、前進を続けている
ロシアはポクロウシク方面の損失だけに限っても、それを補えるほどのペースで新たな車両を生み出せていない。ロシアの産業界による歩兵戦闘車の新造数はおそらく年間1000両に満たない。また、冷戦時代の古い車両の在庫も底をつきつつある。たとえばロシア西部コストロマ州にある大規模な保管施設、第22中央戦車予備基地では、衛星画像によると在庫がほぼ空になっている。 こうした事情から、ロシア軍はポクロウシクに対する最近の攻撃でピックアップトラックや乗用車を使わざるを得なかった。そして、一目瞭然の敗北を喫する結果になった。 とはいえ、ロシア軍のすべての突撃部隊がこれほど貧弱な車両に乗っているわけではない。また、すべての突撃が撃退されているわけでもない。 ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトの創設者であるTatarigamiは「ロシア軍は小規模な突撃を継続して行い、最終的にウクライナ側の防御の弱点をあばき、そこを突く」と解説している。「このやり方はロシア側の損害が大きく、長期的には持続不可能とみられるものの、短期的、中期的には有効なものになっている」とも指摘している。 ピックアップトラックやセダンによる今回の突撃が失敗したからといって、ロシア軍の攻勢全体が失敗するわけではない。ロシアは、車両の在庫が尽きるまでにウクライナの領土をできるだけ多く奪い取ろうと躍起になっている。時間とロシア側の消耗によってウクライナの大半の領土は救われるかもしれないが、ポクロウシクは救われないおそれがある。
David Axe