「SL人吉」最後の雄姿 JR鳥栖駅に多くのファン
現役としては国内最古の蒸気機関車(SL)がけん引するJR九州の人気観光列車「SL人吉」が23日、営業運転最終日を迎えた。大正から令和を駆け抜けた列車のラストランを見届けようと、佐賀県内の停車駅でも大勢の住民や鉄道ファンが別れを惜しんだ。 午後2時50分ごろ、小雨の中、鳥栖市のJR鳥栖駅に列車がもくもくと煙を上げながら到着すると、待ち受けた人たちは写真を撮ったり、手を振ったりして出迎えた。「ありがとう! SL人吉」と書かれたタオルを掲げる人の姿も。 鳥栖市の矢羽多陽翔君(4)は「かっこいい」と笑みを浮かべ、母親の知愛さん(38)は「家からでも石炭の匂いや汽笛の音を感じることができ、特別な存在だった」と引退を残念がった。佐賀市の溝上蓮斗さん(16)は「歴史的に貴重で、レトロな雰囲気に魅力を感じる。長い間、お疲れさまでした」とねぎらった。 SLは、1922(大正11)年製の「8620形・58654号機」で「ハチロク」の愛称で親しまれた。75年に一度引退したが、88年から熊本県内を走る「SLあそBOY」として復活、09年からはSL人吉として運行。20年の豪雨で肥薩線が被災した影響で、21年からは鹿児島線の熊本-鳥栖間を運行していた。 この日は熊本-博多(福岡市)間を特別運行し、博多駅では記念出発式が開かれた。(井手一希)
井手一希