『不適切にもほどがある!』以上にピリピリ…ギャグにならない“リアル”な「テレビ局コンプラ対策」
コンプライアンス遵守が叫ばれるなか、阿部サダヲ主演、宮藤官九郎脚本の連続ドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)が話題沸騰中だ。 【衝撃写真あり】『不適切にもほどがある』仲里依紗が似合いすぎ「 網タイツ&ド派手レオタードのキラキラ大胆衣装」 ドラマでは昭和と令和を主人公らがタイムトラベルしながら行き来し、当時の文化や生活、テレビのコンプラを比較するという内容だ。 ドラマでは 《この作品には不適切な台詞や喫煙シーンが含まれていますが 時代による言語表現や文化・風俗の変遷を描く本ドラマの特性に鑑み、1986年当時の表現を敢えて使用しています》 と、記されている。 「教師の阿部が、学校の教室やバスの中でも喫煙するシーン、今では考えられないセクハラ言動や偏見まみれの発言が登場します。令和世代には大きなギャップですが、昭和の“人情溢れる”良き部分も垣間見え、現在の我々の生き方に一石を投じるシーンが、幅広い層にウケているようですね」(女性誌記者) 令和のシーンではテレビプロデューサー役を演じる山本耕史が、生放送中にSNSを見ながら視聴者のコメントを気にし過ぎて、出演者に謝罪させるというシーンもある。 ドラマ内ではテレビ局のドタバタぶりをギャグにしているが、実際はさらに“徹底”した厳しさの元で行われているという。ある民放キー局に勤めるテレビ関係者によれば、 「番組によるとは思いますが、まず生放送中にXをずっと見ている上層部がいるというのは本当です。というのもクレームというより、間違いを指摘してくれる視聴者がいることが大きいです。その指摘された部分を迅速に確認し、生放送中に訂正を入れることができるというメリットがある。 場合によっては同時録画を即座に確認し、言い回しなど含めて問題なかったか確認する。そもそも近年では訂正をきちんとした番組が評価される仕組みがあり、どの番組が何回、訂正放送をしたかということが局内ですぐに分かる。とはいえ番組の資質にかかわるので、わざと間違えることは絶対しませんが。もしミスが確認できれば局のアナウンサーなどが訂正して謝罪します」 と現状を明かしてくれた。 ミスが確認できれば、即座に局アナなどが訂正して謝罪する。ひと昔前よりも訂正シーンが増えているのは、そのような裏事情があるようだ。 「最近ではLGBTの扱いも厳しいため、一般人にインタビューした際に『30代会社員』などという表記にして、性別を出さないようにしています。現場で“あなたの性別は?”などと聞けるわけもないですし、自認する性別が違う場合もあるためです」(同・テレビ局関係者) 『不適切にもほどがある!』のワンシーンのように、女性に対して“男顔負けだな!”などというのは、出演者のコメントとしてはNGだという。 また、グレーなところでは、昨年の『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)決勝に登場した『シシガシラ』のネタとして話題になった“ハゲいじり”だ。バラエティ番組や芸人コンビ間の“ハゲいじり”はかろうじてありますが、情報番組などでは“ハゲいじり”はNGとなっているという。 「薄毛や肥満など見た目を揶揄すれば、視聴者から即クレームが来ます。上層部は自分の出世にかかわるため、そういったコンプライアンス意識は非常に高く持っているのです」(同・テレビ局関係者) スマホの出現により、テレビだけでなくユーチューブやTikTokなど好きな動画を見ることが可能になった現代。 「少数派でも声が大きい層を“ノイジーマイノリティ”といいますが、過度に気にしすぎている気もします」(同・テレビ局関係者) という声があるように、コンプライアンス強化により“番組が面白くない”という声も聞かれる。 だが、ネットなど他のコンテンツが過度に供給されていることによって、深刻な“テレビ離れ”が進んでいることは間違いないだろう。昭和のノスタルジーを回顧し“昔は良かった”と一番感じているのは、もしかしたらテレビ局関係者なのかもしれない……。
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