なぜ叩かれても平気なのか?クロちゃん流メンタルの整え方:インタビュー
お笑いトリオ・安田大サーカスのクロちゃんが、動画配信サービスDMM TVで配信中の“脱出系ロケバラエティ”『大脱出2』に出演。前作に引き続き土の中、浜辺に埋められたクロちゃんは単独での脱出を試みる。『大脱出』はバカリズム、バイきんぐ小峠をはじめとするメンバーが、地上波、配信でも他では見たことのないスタイルのバラエティ企画に挑戦。各々に与えられたミッションを遂行しながら、その場所から脱出するというもの。なんとか生還したメンバーたちが「ヤバかった…」と口を揃える過酷企画だ。インタビューでは、前回に引き続き埋められてしまったクロちゃんが、土の中で唯一の楽しみだったことや、過酷な撮影や視聴者からのバッシングなどにも耐えうる強靭なメンタルの秘密に迫った。(取材・撮影=村上順一) ■極限状態になればなるほど気持ちいい ――『大脱出2』参加されての心境はいかがでした? まさか2度も埋められるとは思っていなかったので、その絶望感ったらなかったです。 ――とはいえ「また埋められるかも?」と予想していたところもあったのでは? いやいや、まさか『大脱出』に続編があるなんて想像してなかったから! あんなこと一回こっきりしかできないと思っていたし、地面に埋められるというのも、過去の話として「あんなことあったよね」と思えると思ってたら...。 ――まさかの早い段階で再び悪夢が訪れて。 そうそう。今回は海辺の浜に埋められたんですけど、正直今までで一番キツかったです。肉体的にも精神的にもマックスだったので、初めて「埋められるのはNG」だとシーズン1が終わったあとに言いました。 ――それはプロデューサーの藤井(健太郎)さんに直接? 僕が藤井さんと会うことはほとんどないので、マネージャーに言いました。僕の中で藤井さんは隠れキャラみたいな感じで、たとえばテレビ番組で一緒になっても、「あっ、藤井さんいたから挨拶に行こう!」と思って、休憩のタイミングで行くと、そこにはもういなくて...。 ――なかなか直接言うことはできないんですね。 ちゃんとマネージャーからNGだと伝えたはずなのに、何を勘違いしたのか、藤井さんは山に埋められることがNGだと思ったみたいで、今回海になって...。改めてはっきり言いますけど埋められること自体がNGです! ――あはは(笑)。ところで、長時間埋められたことで、新たな発見みたいなものはありましたか。 身動きが取れなくて、苦痛でしんどいとか嫌なことしかないと思っていたら、とびっきりの楽しいことが一つだけありました。それはオシッコなんです。 ――シーズン1でもしてましたね。 今回も沢山しました。ただ、水分がなかったのでオシッコの出が悪くて、「もっと出ろ」って思ってました。スキューバーダイビングでウェットスーツを着てオシッコをすると冷たい水の中でも暖かくなって気持ちいいですけど、その比じゃない、ビックリするくらい気持ちよくて。前作でも経験はしていますけど、極限状態になればなるほど、尿のありがたみはすごいと再発見しました。 ――快感なんですね! 今まで経験してきた中で一番気持ちいい。動けない状況下の中でのオシッコがダントツの気持ちよさがありました。「何だよー」とか不満を叫びながらも、頭では「早く尿意来い」と思ってましたから。このインタビュー記事を読んだ人が「また気持ち悪いこと言ってるな」とか思うかもしれないけど、これはマジです。みんな経験してないからわからないだけで、もう神に捧げているような、神聖なものだということがわかりました。 ■過程をしっかり観てもらいたい ――ところでクロちゃんは、1人でのミッションですが、さらば青春の光の森田さんとか2人でやっている側に行きたいですよね? あちら側にどんな思いがありますか。 あれズルいよね! すごいつらかったってみんな言うけどさ、絶対僕の方がきついから。結果的に配信されたのを観てクロちゃんの方がきついとわかってくれたみたいだけど。 ――1人というのは精神的にキツいですよね...。 シーズン1では埋められた僕のとなりにゴミ置き場があって、アイテムがいろいろあったけど、今回は見渡す限り海で、とにかく波がすごく怖くて。しかも手がかりがGoogleのスマートスピーカーしかないでしょ。 ――あの状況でどうやって脱出したのか、みなさん気になっていると思います。 今ここに僕がいるということは、脱出できたということなので、その過程をしっかり観てもらいたいですよね。 ――迫り来る波、死を考えてしまいますよね...。 僕はバンジーとか過酷なロケがある時は、「死ぬか」、「それでもやるか」の2択で考えるんですけど、僕の中で選択肢がなかったんです。自分の中でいつもの2択が使えなくなりそうだったのも恐怖のひとつでした。 ――八方塞がりとはこのことで。スマートスピーカーだけが友達ですよね。 なぞなぞとか出してくるんですけど、僕も何か情報を得ようとして話しかけたりして、ずっと喋ってました。だんだんGoogleに温もりを感じはじめてきて、その状況も相当ヤバいなと思いました。 ――もうパートナーですから。ところで、もしコンビでチャレンジするとしたら、組みたくない人はいますか。 みちお(トムブラウン)ちゃんかな? なんかすごく臭そう。あんなに狭い部屋で相手の顔を見ながら大便するなんて地獄でしょ。あと、何かもめたりした場合、みちおちゃんは力が強いから僕が負けてしまうし、ちょっと組みたくないなと思いました。 ――あはは(笑)。 そういう意味ではみなみかわもシステマがあるから強いし、逆に井口(ウエストランド)だったら口うるさいかもしれないけど、力で抑え込めるので組むのはありかなって。(お見送り芸人)しんいちは小物感がエグくて、悪巧みしそうだけど、一発バチコンとやっておけば大丈夫そうなので、組んでもいいと思っています。 ■なるべく人のせいにできるように ――そんなクロちゃんがバラエティに臨むにあたり、大切にされていることは? 自分の責任にされたくないから、なるべくスタッフのせいにできるような状況をしっかり判断してやるということです。台本があればそれを読み込んで、それが面白くなかったら、それはスタッフのせいだとできるようにします。たとえば目隠しをされて、それを取った時のリアクションがよくなかったねとか言われたら、目隠しをしてそれを取っただけで面白くなると思っていたスタッフの味付けが足りなかったんじゃないかと思っているので、なるべく人のせいにできるように仕事はしています。 ――すごいです...。 全てが自分のせいだと思ってやっていたら、ずっと引きずってしまい、次の仕事にも響いてしまって、うまくいかないマインドになってしまうから、ダメだったことは全部人のせいにするようになりました。 ――ちなみにご自身が出演した番組を見直して反省会とかされますか。 反省会はしないです。『水曜日のダウンタウン』(TBS)に関しては、何が起きているのかわからないことが多いから、確認のために観ることはあるけど。あとは、自分がウケたなと思ったときは観ます。評価が得られそうなものは告知もエグいくらいします。 ――さすがです。最後に、過酷なお仕事もこなすクロちゃんから、メンタルを強くするための秘訣はありますか。 やっぱり人のせいにすることだと思います。 ――それって人に嫌われたりしませんか。 それを口に出さなくてもいいんです。頭のどこかでそう思うようにする。そうしないとキャパオーバーしたときにダメになっちゃうから。あとは、長時間落ち込んでしまうと気持ちが戻すのが大変だし、アイツといると面白くないなと思われてしまう可能性もあるから。テストでいい点を取ったり、仕事でいい成績をあげて褒められると調子に乗って天狗になったりするけど、初めのうちはいいけど、それもだんだん人は離れていくから、ある程度で抑えなければいけないと思っていて、そういう状態にならないように早い段階で手を打つことを大事にしています。 ――バランスが重要ですね。 安田大サーカスが良い例で、HIROくんは食べることしか考えていないし、団長は自転車に乗ってトライアスロンをしているだけで、お笑いのことはよくわかってないじゃないですか。そこでバランスをとっているのは僕なんです。本当は団長がリーダーだから、そういうところもやってくれるといいんだけど、すごく偏ってるから。 ――それにしても人のせいにするというのは、改めてすごいです。基本、人のせいにするなと教えられることが多いですから。 たとえば繁盛しないラーメン屋さんの店長も、その理由はお客のせいにすればいいと思っています。客がバカ舌だから、ウチのラーメンの味の良さがわかっていないみたいな。そう思っておけば腹が立つことはあっても、落ち込むことはないからメンタルは保てます。そこからもう一段回上に行くと、バカ舌の人に合うようなラーメンを作ってやるかとなって、そうすれば創作意欲も湧くし、落ち込んだ状態ではやらないから、いいものができると思います。 ――クロちゃんはいつ頃からそういう考え方になったんですか。 小2からです。当時の担任の先生にめちゃくちゃ怒られたんです。その時に「この人、教えるのがすごく下手だな」と思って。だから自分が予習していってやろうと思い、そこからすごく楽な気持ちで、何事もできるようになったのがきっかけでした。 (おわり)