寺本莉緒、“夜の女”役を演じるのは『おむすび』で2度目 仲里依紗との対峙は大きな経験に
朝ドラ『おむすび』が、ついに過去の記憶へと手を伸ばした。平成6年、米田家の神戸での生活について描きつつ、歩(仲里依紗)のギャル時代にも触れていく。第17回の最後に登場した元天神少女会のギャル・大河内明日香は、歩のギャル時代を紐解く重要な人物になるだろう。大河内明日香を演じるのは、人懐っこい笑顔が特徴の寺本莉緒だ。 【写真】セーラームーンのコスプレをする幼少期の結 神妙な顔つきで天神の街を歩く歩に声をかけた明日香は、夜の女を思わせるきらびやかなドレスを身にまとっていた。寺本が福岡出身の夜の女を演じるのは、Netflixシリーズ『サンクチュアリ -聖域-』での謎めいたホステス役・七海に続いて、二度目だ。 『サンクチュアリ -聖域-』での七海といえば、天真爛漫な雰囲気とグラマラスなボディーで、主人公・清(一ノ瀬ワタル)を翻弄し、虜にした女。茶目っ気たっぷりな態度で清を誘惑し、清から財布を盗むなどどうみても悪女なのに、なぜか憎めない不思議な魅力を持ったキャラクターだった。はじめは清をカモとしていた七海だが、相撲へ傾倒していく清の姿に惹かれ、恋敵だと思い込んだ国嶋飛鳥(忽那汐里)に対抗意識を見せるなど、徐々に清に対する感情が変化していった。 七海は、『サンクチュアリ -聖域-』における重要な人物であるにもかかわらず、彼女の詳細な心情や過去はほとんど描写されなかった。ただ、清や村田(金子大地)、飛鳥に対するリアクションだけが彼女を形作っており、心の奥底を察することはできない。明朗な雰囲気なのに常にミステリアスで、不思議な魅力が詰まった女性だった。愛らしさと負けん気の強さで視聴者も翻弄する七海を、寺本は見事に演じて見せた。 『サンクチュアリ -聖域-』以降、『RoOT / ルート』(テレ東系)では主人公・玲奈の協力者である売れっ子キャバ嬢・花音役、『新宿野戦病院』(TBS系)第2話では、ホストにいれあげる風俗嬢リリカ役など、キャラクターは違えど、夜の世界を生きる女性を立て続けに演じている。花音役で見せた飄々とした姿、リリカ役で見せた激昂した必死な姿など、作品内での役割をきっちり果たす芝居が寺本の魅力だ。 寺本は、DREAM GIRL AUDITION 2015をきっかけに芸能界入りし、2018年には、ミスマガジン2018で、ミスヤングマガジンを受賞。ヤングマガジンでのグラビア写真や、SNSへの水着姿の投稿などで注目を集めた。グラビアの経験も自身の武器にし、確かな演技力で作品に彩りを添えている。 『おむすび』で演じる大河内明日香役は、寺本がこれまで演じてきたような夜の世界を勝ち気に生き抜く女性。それでいて、過去には歩と敵対した天神のギャル。過去と現在どちらもで、明日香は歩にとってのキーマンになることは明白だ。寺本にとっても念願の朝ドラ出演で、手練れ俳優の仲里依紗との過去と現在での異なった形での対峙。寺本にとって、明日香役は、これ以上ないほど大きな経験になるだろう。
古澤椋子