子どもの私立大学の学費、約半数の家庭が払うための貯蓄がない!2人に1人が奨学金を借りているという現実
文部科学省が公表した「学校基本調査」によると、2023年度の大学(学部)進学率は57.5%と過去最高記録の進学率の高さでした。半数以上の人たちが大学に進学している昨今、多くの家庭で問題となっているのが子どもの進学費用です。 【表】東京大学の合格者のうち、上位の出身校〈中高一貫校〉は? 2025年度から3人以上の子どもがいる多子世帯は、所得制限なしで大学の授業料等が無償化されるという方針が先日発表されました。3人以上の子どもがいる、というそもそもの条件を満たせない家庭も多いだけでなく、3人いた場合も「扶養されている子」いう条件で調整されているため年齢差があるきょうだいの場合は3人とも給付されるということは難しそうです(2023年12月22日現在)。3人以上でも以下でも、楽観視はできそうにありません。 また、貸与型奨学金を借りて大学進学する人も少なくありません。しかし、就職活動につまづいたり、働きはじめても思うような収入が得られずに返済に困るケースも。社会人になってからも月々の返済に苦労し、「奨学金返済」という金銭的な理由から結婚や出産を躊躇する適齢期の人々の存在は社会問題化しています。 物価高などの影響により貯蓄もままならない状況下。それでも、わが子には社会人スタート時に奨学金返済という負債を負わせたくないと考えるのが親心。「老後のための貯蓄を切り崩してでも、子どもに奨学金を借りさせずに大学を卒業させた方がよいのでは?」と悩む親御さんは少なくないのではないでしょうか。本記事では、親は老後資金と子どもの大学進学費用のどちらを優先すべきなのかについて考えていきましょう。
奨学金を借りている大学生は約2人に1人
日本学生支援機構「令和2年度 学生生活調査結果」によると、令和2年度における大学(昼間部)の奨学金貸与者の割合は49.6%と、大学生のおおよそ半数という結果になりました。また、「申請したが不採用」と回答した人(2.2%)を含めると、大学生の半数以上が奨学金を必要としている状況におかれているといえます。日本では奨学金を借りて大学に進学することは珍しいケースではなく、むしろ一般的なことです。 奨学金を借りることで親の負担を軽減できる他、本人は大学生活を充実させたり、将来のための自己投資に多くの時間を充てたりできます。とはいえ、奨学金の返済苦が社会問題となっていることを忘れてはいけません。奨学金には返済不要のものもありますが、ほとんどの奨学金は大学を卒業した年から返済が開始します。さらに、有利子の奨学金であれば、学生時代に使った以上の金額を返済していかなければなりません。