F40から40年を経て「12倍以上のお値段」で誕生! フェラーリF80は3リッターV6+モーターで1200馬力の怪物だった
3リッターV6ハイブリッドの最高出力は1200馬力
F80のエクステリアデザインは、完全に機能、すなわちエアロダイナミクスを優先したものだ。もちろんそのディテールには過去のフェラーリの作からモチーフを得たパートを見つけることも可能だが、機能を追求するとどうしてもエレガントな印象というものからは遠ざかってしまう。それはフェラーリの新時代を象徴する新しいカタチであり、また理想像にほかならないのだ。 全長×全幅×全高で4840×2060×1138mmというボディに包み隠される基本構造体は、もちろん新設計のカーボンモノコックのセンターセクションとアルミニウム製のサブフレームからなるベアシャシーだ。 サブフレーム上に搭載されるパワーユニットは、新開発の3リッター120度V型6気筒ツインターボ。さらにリヤに搭載されるモーターによるハイブリッド化、そして電動ターボ機構を採用することで、低速域でのターボラグを完全に解消している。 さらにフロントアクスルには2個のモーターが搭載され、システム全体の最高出力は1200馬力という驚異的な数字を得ることに成功している。ちなみにこのF80の車重は1525kgであるから、パワーウエイトレシオは1.27kg/馬力となる。 F80に搭載されたモーターは、いずれもフェラーリの社内で開発、そして製作されたものだ。そのコンパクトで軽量な設計は、さすがにフェラーリの作と感じさせてくれるもの。異なる機能を1個のコンポーネントに統合し、新たなメカニカルレイアウトを採用したことで、重量は従来のものからさらに14kgも軽量化されたという。 アクティブサスペンションシステムも、F80のメカニズムを紹介するには欠かせないパートだ。デザインとしてはダブルウイッシュボーンとなるF80のサスペンションは、もちろん完全な独立式で、4個の48バルブモーターで作動。インボード式のアクティブダンパーが備えられる。コーナリング制御の向上やアンチロールバーが不要になることなど、そのシステムを導入した価値は大きい。 0-100km/h加速を2.15秒でこなし、最高速はリミッター作動で350km/hとされるF80。フェラーリの歴史は、このF80によって、またひとつ大きな転機を迎えたような印象が強い。価格はイタリア本国で360万ユーロ(約5億7000万円)以上。それに相応する価値をもつ新たなドリームカーの誕生だ。
山崎元裕