回転ずし「石川の陣」 かっぱ寿司、11月初進出 地元グルメ系も新店、改装
石川の回転ずし業界で、地場各社と県外の大手チェーンが新規出店や改装の動きを強めている。大手の「かっぱ寿司」は11月中旬に野々市市に1号店を開業し、北陸に初進出する。高級魚や地物ネタを扱う「グルメ系」の地元勢も金沢市中心部での出店や既存店の改装で対抗。すしへの世帯支出が日本一の石川は「まだ攻める余地がある」と各社が投資を活発化させている。 全国に約300店舗ある「かっぱ寿司」は、野々市市御経塚2丁目で新店舗の建設を進めている。運営するカッパ・クリエイト(横浜市)によると、1皿110円から提供し、注文専用高速レーンやセルフレジなどデジタル設備を多く使った仕様になるという。 総務省の家計調査(都道府県庁所在地・政令指定都市)によると、1世帯のすし(外食)の年間支出額は2021年から3年間の平均で金沢市は全国トップの2万2802円。富山市は1万7453円で6位に入っており、北陸に暮らす人たちの「おすし好き」は際立っている。 同社の広報担当者は「すし文化が根付く石川で、普段使いの店としての需要に応えたい」と北陸での多店舗展開も視野に入れる。 大手では、スシローを運営する「あきんどスシロー」(大阪府吹田市)も6月、金沢市の金沢有松店をリニューアル。テーブル席の大型ビジョンで注文やゲームなどができる「デジロー」を北陸で初導入し、親子連れの来店を促している。 ●観光客の需要高まる 地元企業も積極的に動いている。「すし食いねぇ!」を展開するドマックス(白山市)は18日、金沢駅西の複合施設クロスゲート金沢に9店舗目を開業する。観光客の来店でランチ需要が高まるとみて、大皿のセットメニューも運べる大型レーンを採用する。 「もりもり寿し」のウエノフーズサービス(野々市市)は6月に片町店を約1・8倍に増床した。注文商品を供給レーンで届けるフルオーダーシステムを初めて採用したところ、観光客らでにぎわっており、既存店に同じシステムの導入を検討している。 「金沢まいもん寿司」を展開するエムアンドケイ(金沢市)は県外への出店に力を入れている。5月に新潟で地元すし店とコラボした新店を出し、6月には京都駅ビルで新規開業した。県外でも北陸のすしへのニーズが高まっており、その需要を取り込む狙いだ。 ●「すみ分けできた」 低価格路線の県外勢に対し、グルメ系で違いを打ち出す地場企業。地元の各店には「石川の人は低価格と高価格帯の店を使い分けており、すみ分けができている」との見方が多いが、「石川の陣」は今後も熱を帯びそうだ。