日銀利上げは0.5%止まり、国債買い入れ減額を優先-米アライアンス
(ブルームバーグ): 米資産運用大手アライアンス・バーンスタインの橋本雄介ポートフォリオ・マネジャーは、日本銀行の利上げは異次元緩和の下で膨らんだバランスシートが制約になり、0.5%程度にとどまるとみている。日銀は利上げより国債買い入れの減額を優先し、早ければ6月の金融政策決定会合で減額を決定すると予想する。
日銀は13日に、市場の意表を突いて残存期間5年超10年以下の国債買い入れを減額した。橋本氏は17日の定例買い入れでも3年超5年以下を減額し、6月か7月の決定会合で「これまでとおおむね同程度の金額」(月間買い入れ額6兆円程度)としている買い入れ額を5兆円程度に引き下げると読む。
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)やバンガード・グループなど一部の海外債券運用大手は年内に複数回の利上げを見込んでいるが、アライアンスは日銀の巨大なバランスシートが利上げを妨げるとみており、早期かつハイペースな利上げ論とは一線を画している。
日銀利上げ、バンガードも市場上回る回数見込む-ピムコに追随
利上げよりも国債買い入れ減額を日銀が優先すると橋本氏が考えるのは、0.5%ポイント以上の利上げを行うと、日銀当座預金の超過準備に対する利払い費が利息などの収入を上回るためだ。
「昨年から欧州でも中央銀行の利払い費がメディアに取り上げられて問題になっている」と同氏は指摘。日銀の収支が赤字になっても理論的には全く問題がないが、バランスシートが欧州とは比較にならないほど大きい日銀としては「非常に気にしているのではないか」と語る。日銀のバランスシートは10日時点で758兆円。うち長期国債保有額は589兆円に上る。
日銀は3月のマイナス金利解除により政策手段を短期金利に統一。国債の買い入れは経済・物価情勢に基づく政策判断と切り離し、市場動向や国債需給などを踏まえて判断するとしている。しかし、橋本氏は4月の展望リポートを踏まえると「現実問題として切り離すことはできない」と言う。