松本藩主ピンバッジ そろわぬ6氏 新春開門で配布 中止続く 長野県松本市
国宝松本城の新春開門に合わせて長野県松本市が行っていた、お城と藩主の家紋を組み合わせたピンバッジの配布は今年の正月もなかった。新型コロナウイルス感染症禍をきっかけに令和3年正月から配布が中止となり、5年連続となった。歴代藩主6家のうち4家が配布され、愛好家からは残り2家を求める声が上がっているが、市は新年度予算案に関連費用を計上する計画はなく、「全家制覇」は難しい見通しとなった。 ピンバッジは平成29(2017)年から令和2年まで各年1000個ずつ配布された。石川氏(家紋は笹竜胆=りんどう)と小笠原氏(三階菱=さんがいびし)、戸田氏(はなれ六ツ星)、松平氏(丸に三葉葵=あおい)の四つで、残りは堀田氏(黒餅に竪もっこう)と水野氏(丸に立おもだか)の二つだった。 市がコロナ禍を機に配布を中止したのは、大勢の人が集まって密になることや、高齢の愛好家の体力的な負担を考慮したことなどがある。中止してから、年末になると一部の人から問い合わせが寄せられているという。以前にピンバッジを集めていた理容師の原達さん(83)=大手4=は「残り二つだし配ってほしかったが、愛好家は減っているし仕方がない」とみる。 市松本城管理課は「コロナ禍で新春祝賀式が廃止になり、無料配布の機会が失われた。観覧料の値上げを検討する厳しい経営環境の中で無料配布を続けるのは、整合性がとれないとの指摘もある」と中止の理由を話す。「あと2家集めたいという要望が多ければ、売店で土産物として販売することも検討したい」としている。
市民タイムス