<近藤華>「アンチヒーロー」難役挑戦の16歳 父娘対面シーンは撮影まで緒形直人と会わず 「自分を追い込んで」気持ち作り
◇第8話の父娘の再会「一番大事なシーンになる」と
そんな近藤さんが、以前から「紗耶ちゃんにとっても、私にとっても一番大事なシーンになる」と準備してきたのが、第8話の父娘の再会シーンだ。
監督からもらった親子を描いた映画のリストの作品を見たり、死刑囚や冤罪、その家族に関する記事を読んだり、「もう一回、紗耶ちゃんの人生を振り返る作業をして」気持ちを高めていったという。
「紗耶ちゃんについて台本には書かれていない部分、例えば施設の中での立ち位置やどんな友達がいるのか。学校では『もしかしたらいじめに遭っていたのかもしれない』とか。そういう紗耶ちゃんが経験してきたであろう、つらいことを自分で創出して、どんどん自分を追い込むことで気持ちを高めていました」
同シーンでは、ついに志水本人の口からはっきりと「誰も殺してない」と聞かされた紗耶。一方で、会社の金を横領した罪を告白し、「つらい思いをさせた」と謝る志水に対し、「私がどうしたら幸せかは、私が決める」と涙声で訴えつつ、「パパが(殺人の罪を)認めたせいで、つらかったなんてもんじゃないよ。パパがいなくなって、ママも(飼い犬の)ココアも死んじゃって、私はずっと、ずっとずっと寂しかった。本当は犯罪者でもいいから、ずっとパパと一緒にいたかった」とたまりにたまった思いを涙ながらにぶちまけた。
「演技とはいえ、自分の気持ち的にもすごくつらくて、悲しくて。そういうときに限って『自分の演技、大丈夫なのだろうか』と頭をよぎるので、そうはならないように、紗耶ちゃんとして、パパの感情を受け取ろうと、緒形さんの演技にゆだねることを意識しました」
◇「何回もできるものではないと」とにかく集中
劇中で、紗耶と志水の対面は12年ぶりだったが、近藤さんが父親役の緒形さんと撮影で顔を合わせたのは、この日が初めてだった。
「シーンの段取りのときが本当に“はじめまして”。本番前もなるべく話さないようにと少し離れたところにいました。撮影前の緒形さんは、おだやかで優しい感じの雰囲気だったのが、本番になったらボロボロの『まさに死刑囚』って感じのまるで別人で、その切り替えがすごいなって思いました」