女子プロレスラー最大注目株 ジュリアの意外な素顔…エンタメ素質はマツコ、さんまのお墨付き
悪役女子プロレスラーのダンプ松本(64)に着想を得たフィクション「極悪女王」(Netflix)が注目を浴びる2カ月前、女子プロレス界の台風の目はジュリア(30)だった。イタリア人の父と日本人の母の間に生まれた彼女は、ロンドンで生まれて千葉県で育ったハーフ。メーキャップアーティストになるために専門学校に通いながら、学費を稼ぐためにキャバクラで働いていた22歳のころ、客との同伴出勤で女子プロレスを観戦したのが業界入りのきっかけだ。 【写真】女子プロレスラー神取忍さんは10月に還暦を迎えた デビューは2017年。その2年後、所属していたアイスリボンを電撃退団したわずか5時間後に、“女子マット界の盟主”スターダムの大会にサプライズ登場したことで、「お騒がせ女」の異名を取った。昨年1月、2週連続で放送された「週刊さんまとマツコ」(TBS系)に、当時はDDTに所属していた赤井沙希(37)、センダイガールズプロレスリングの橋本千紘(32)とともに出演すると、元キャバ嬢という異例の経歴と歯に衣着せぬ物言いで、“お笑い怪獣”さんまとマツコを爆笑させたほど、エンターテイナーとしての素質は十分だ。 今年3月にスターダムを退団すると、同団体のエグゼクティブプロデューサーだったロッシー小川氏が起こした新団体・マリーゴールドに移籍。ところが、5月の旗揚げ戦のわずか3カ月後に、世界最大のメジャー団体である米国のWWEへの挑戦を掲げて退団。現在は、WWEの3rdブランドであるNXTを主戦場としている。 スターダムとマリーゴールドで5年ほどジュリアとともに過ごし、女子プロ業界人としては最古参となるキャリア47年の“レジェンド”小川氏は、意外な素顔を明かす。 「スターになる人は似ているところがあって、良くも悪くも気が小さい。(長与)千種も北斗(晶)もそうだった。プロレスラーは大ざっぱなところも必要だけど、彼女の場合は感情的なんだけど、実は神経質。でも、リングに上がると激しい試合をしてたから、魅力は出ていたんじゃないですか」 ■米国移住の直前には、波瀾万丈な人生をまとめた自伝を発表 この10年ほどで、有能な女子プロレスラーが米・英マットで成功している。元AtoZの華名(43)はASUKA、元スターダムの紫雷イオ(34)はイヨ・スカイ、宝城カイリ(36)はKAIRIのリングネームで大成。センダイガールズプロレスリングの社長兼選手で、来年4月29日に30年の選手生活にピリオドを打つ里村明衣子(45)は、選手兼コーチとしても携わる。 「ジュリアは外国人の血が入ってるから、普通の日本人にないパフォーマンス力が身に付いている。その上で研究熱心だから、彼女は今後さらに加速して、世界中に話題を提供するだろうから、我々は誇らしく思ってますよ。タイミングが来たら、マリーゴールドがジュリアを“逆招へい”したい」(小川氏) 米国移住の直前には、波瀾万丈な人生をまとめた「My Dream ジュリア 自叙伝」(ホーム社)を刊行。東京・書泉ブックタワーでサイン本お渡し会を行うと、400人以上のファンが集まって、808冊を売り上げ。同書店におけるスポーツ・格闘技関連のイベントで過去最高の売り上げを記録した。 同著の制作・編集を担当したのは、元「週刊ゴング」の名物編集長・金沢克彦氏。同氏は、「圧倒的なオーラとルックス、立ち居振る舞いから、日本のプロレス界に収まっている器ではないと、2年ほど前から感じていた」という。 「若き日から全盛期にかけてのアントニオ猪木に似ているんです。ブラジル移民として差別されるなかで、まともなスポーツ歴がないままのし上がった猪木。その生きざまやコンプレックスがリングに投影され、波瀾万丈の人生を歩んできた人間にしか出せない空気感、トンパチさがあったのです。ジュリアからもそれを感じる。無論、ジュリア本人は意識していないので、言ったところでポカンとしてましたけど(笑)」 日本に住まいを残したまま、中長期的に海外移住するレスラーが少なくない。しかしジュリアは、「家を完全に引き払った。6トントラック1台分を廃棄して、家具はマリーゴールドの寮に移して」(小川氏)、退路を断ったという。それは、成功するまで日本に帰らないというジュリア流の哲学かもしれない。 (取材・文=伊藤雅奈子) ◇ ◇ ◇ 80年代の女子プロレスが今、熱い! 関連記事【もっと読む】Netflix「極悪女王」大ヒット→80年代女子プロレス再評価で特需到来!伝説のレスラーが続々登場…では、大ブームとなっている「極悪女王」について伝えている。