【ラノベ週間ランキング】「ダンまち」シリーズ新刊が1位に! 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』暁佳奈による新作も
Rakutenブックスのライトノベル週間ランキング(2024年12月9日~15日)は、大森藤ノ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 20 小冊子付き特装版』(GA文庫)が1位で通常版が3位。「ダンまち」シリーズの最新刊で、10月から放送・配信が始まったTVアニメ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかV 豊穣の女神篇』でのエピソードが集結した後、ベル・クラネルが「学区」と呼ばれる冒険者の養成施設に潜入し、一騒動起こした19巻から続くストーリーとなっている。 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』暁佳奈の新作『春夏秋冬代行者 黄昏の射手』 「学区」がオラリオのギルドから受けたオリハルコンの徴収という仕打ちに憤り、協力をボイコットしたことから神々が仲裁に立ち、オラリオVS学区というイベントが開幕。そのバトルが繰り広げられる一方で、ベルの方は「学区」で教師をしているレオン・ヴァーデンベルクに連れられ北の方へと旅に出る。そこで繰り広げられたある戦いが、最終章へと突入する「ダンまち」シリーズを、恋と冒険の物語から別の次元へと連れていきそうだ。 あとがきの後のエピローグで示されたオラリオを騒がしている緊急事態は、2025年1月発売の『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア15』(GA文庫)にも描かれて、ベルたちを壮絶な戦いに引きずり込むことになりそう。ランキングでも『小冊子付き特装版』(GA文庫)が10位に入っており、期待の高さを示している。付録の小冊子の中身も気になるところ。『ダンまち20』特装版の小冊子では、TVアニメで急速に存在感を見せ始めたフレイヤ・ファミリアのヒーラー、ヘイズ・ベルベットの多忙な日々が描かれる。ファンになった人は必読だ。 2位は、佐島勤によるシリーズの最新刊『続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー9』(電撃文庫)。四葉家に連なる司波達也が日本の富士山麓にある遺跡を発掘したことが、国家を裏から支配する元老院の中でもトップの四大老のひとり、穂州実明日葉を怒らせ四葉家襲撃を決意させる。そこに現れたのが四葉家に連なるある人物。裏切りが果たして達也や四葉にどれだけの危機をもたらすかが読みどころだ。もうひとつ、日本侵略の動きが始まった中で、達也が見せた戦略兵器クラスの活躍ぶりにも触れられる。やはりお兄様は最強だ。 4位は、伏瀬『転生したらスライムだった件22』(GCノベルズ)。主人公のリムル・テンペストが不在となっている状況で、魔国連邦と天使軍団との戦いが続いている模様。9月にTVアニメの第3期が終了したが、TVアニメの第4期と『転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編』に続く劇場版第2弾の制作も発表となっており、盛り上がりは続きそう。小説はそこからずっと先の出来事が描かれており、お祭り騒ぎだった第3期から状況がどれだけ変わっているかを確かめられる。2025年1月30日発売予定。 5位は、徒然花の原作を木野咲くカズラがコミカライズしたシリーズの最新刊『誰かこの状況を説明してください! ~契約から始まるウェディング~ 10』(アリアンローズコミックス)、6位は、十夜『悪役令嬢は溺愛ルートに入りました!? 8』(SQEXノベル)と女性に人気の作品が並んだ。『溺愛ルート8』は、アレクシス編完結から流れて短髪になったルチアーナをめぐってイケメン軍団の言動が活発になる。キュンとくる物語を楽しもう。 7位は、谷川流『涼宮ハルヒの劇場』(角川スニーカー文庫)。傍若無人な涼宮ハルヒが、キョンたちSOS団の面々とロール・プレイング・ゲームの舞台のようなファンタジー世界に入りこんでクエストに挑み、そこからスペースオペラの世界へと飛び西部劇の世界へと紛れ込んで神話世界に行くといった変転が綴られる。それぞれの世界にマッチした扮装をするキャラたちを楽しむファンサービス的な1冊かと思いきや、キャラたちが置かれている状況とその存在に関するハードSF的な設定が浮かび上がって1冊の長篇として完結する。谷川流は健在だ。 8位の鎌池和馬『とある魔術の禁書目録 外典書庫3』(電撃文庫)は、TVアニメ『とある科学の超電磁砲T』のパッケージに連載された書き下ろし小説「とある魔術の禁書目録SS -アニェーゼの魔術サイドお仕事体験編-」と、『とある科学の一方通行』のパッケージに連載された書き下ろし小説「とある魔術の禁書目録SS -バイオハッカー編-」を集めたもの。原作で上条当麻と戦いローマ正教からイギリス清教へと移ったアニェーゼ=サンクティスと仲間たちに久々に出会える。「バイオハッカー編」では、『新約 とある魔術の禁書目録』から登場の蜜蟻愛愉とシリーズでも謎の多い雲川芹亜が上条と絡む。キャラたちへの理解が広がる1冊だ。 9位は、衣笠彰梧『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編12.5』(MF文庫J)。1年生の時からクラスを裏で支え動かして順位を上げてきた綾小路清隆が、3年生になっていよいよAクラスでの卒業に向かい走り始めるという段階で、過去にない大きな出来事が発生する。物語のバランスすら崩しかねないこの状況を、作者がどのように描いてどこに着地させるのかが見物だ。 11位以下の注目作では、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の暁佳奈による『春夏秋冬代行者 黄昏の射手』(電撃文庫)が11位。和風の世界で春夏秋冬といた季節や、朝と夜という時間を司る存在が登場し、いろいろな事態に直面していくファンタジーの最新作で、夜をもたらす黄昏の射手、巫覡輝矢を巡るエピソードが綴られる。美麗なイラストと幻想的なストーリーを味わいたい。 17位の鎌池和馬『とある魔術の禁書目録 外典書庫4』(電撃文庫)は、『外典書庫3』に続く特典小説をとりまとめた1冊。「とある科学の超電磁砲SS(3)」では常盤台中学で御坂美琴のルームメイトの白井黒子を食蜂操祈の派閥からの刺客が襲い、「御坂美琴と食蜂操祈をイチャイチャさせる完全にキレたやり方」では常盤台の女子中学生たちが異世界に転生させられる。『外典書庫3』と同様に、キャラへの愛を深められそうな1冊だ。2月7日発売。
タニグチリウイチ