04 Limited Sazabysの旅路はリスナーと共にこれからも続く 日本武道館で伝えた15周年分の感謝
11月11日と12日の2日間にわたり、04 Limited Sazabysの結成15周年を記念した日本武道館公演『04 Limited Sazabys 15th Anniversary「THE BAND OF LIFE」』が開催された。この記事では12日の公演の模様をレポートしていく。 【画像】04 Limited Sazabysライブ写真 彼らが単独公演で日本武道館のステージに立つのは、2017年2月以来、2度目のこと。本公演のMCでGEN(Vo/Ba)は、初めて武道館に立った時は若手で、当時は「武道館を倒す」という心意気で臨んでいたことを振り返っていた。しかし、先に結論から書いてしまえば、2度目の武道館公演は、15年間にわたる旅を共にしてきたリスナーやバンド仲間への感謝の気持ちで満ち溢れたピースフルなムードのライブとなった。 また、前回は4人にとって先輩にあたるバンド仲間たちが多く観覧していたのに対し、今回は彼らにとって後輩にあたるバンド仲間も多くかけつけてくれていたという(GENは、「人生の大事な登場人物たちが集まっている」と表現していた)。それ故に、15年間ステージに立ち続けてきたバンドマンとしての誇りを堂々と示すライブにもなっていたように思う。 オープニングナンバーは、新たなライブアンセムの一つ「Keep going」だった。いきなりトップギアで加速するパンキッシュなバンドサウンド。それを追い風にしながら高らかに響きわたるGENのボーカル。突き抜けるような疾走感を感じさせながらも、彼らの歌とサウンドは、会場の誰一人も置き去りにしない包容力を誇っているからすごい。終盤の合唱パート〈君無しじゃ 果たせない すぐに行くから 待ってて〉には、たくさんの観客たちの声が重なり、ライブ序盤とは思えないほどの一体感が日本武道館を満たしていた。 その後も怒涛の展開が続く。「message」では特効の火花が勢いよく炸裂し、「fiction」「fade」では、ステージ上を炎とスモークが彩っていく。そうした日本武道館ならではのダイナミックな演出に負けじと、4人の歌とサウンドは、まるで一つずつリミッターを解除するかのように次第に熾烈さを極めていき、観客も拳を突き上げ、ヘドバンし、声を重ね合わせながら懸命に応戦していく。 「DAY 1を超えていきましょう」というGENのMCを経て、立て続けて「My HERO」をはじめとした歴代のライブアンセムが披露されていく。もちろん、近年の楽曲の存在感も際立っており、サビにおいて一気に空高く飛翔するようなメロディが光る「Jumper」は、GENのメロディメーカーとしての才能を改めて感じさせてくれる名演だった。また、「Galapagos」とのコンボで披露された「Galapagos II」における、次々とギアチェンジを繰り返していくミクスチャー的なバンドアンサンブルにも痺れた。 中盤のハイライトは、10月にリリースされた初のセルフカバーアルバム『Re-Birth』の収録曲を披露するアコースティックコーナーだ。HIROKAZ(Gt)がアコースティックギターに、RYU-TA(Gt)がエレキベースに持ち替え、GENがハンドマイクで歌うという特別な編成で、「Re-monolith」「Re-midnight cruising」を披露した。グッとテンポを落としたとしても、決して輝きを失わないメロディが際立つ。また、いつもは爆音をかいくぐるように突き抜けてくる歌詞が、リアレンジバージョンでは優しく心に沁みる。ストリングスを迎えて披露した「Re-swim」では美しいシンフォニックサウンドを展開。まるで広大な音の海の中を自由に泳ぐように歌うGENの歓びと充実感に満ちた表情が忘れられない。 後半戦の幕開けを飾ったのは、これまで幾度となくフロアを熱狂の彼方へと導いてきた初期のキャリアを代表するライブアンセム「Buster Call」だ。スクリーンには、これまでのバンドの思い出の写真を繋いだスライドショーが映し出されていて、その感動的な演出と相まっていつも以上に強く心を熱くさせられた。その後も、新旧の楽曲を次々と披露。この日のライブ中、何度も繰り返して観客に感謝の気持ちを伝えてきたGENは、終盤のタイミングで改めて「皆さんが僕の人生の誇りです。ありがとうございます」と丁寧に胸の内の想いを届けた。「幸せな時間が、永遠に永遠に続きますように」という言葉を添えて披露した「hello」。「皆さんが、少しでも安心して幸せな方向へ向かえますように」という願いを込めて歌い届けた「Harvest」。このようにハイライトを挙げていくとキリがないが、本編を締め括った「Squall」、アンコールの「Feel」「Give me」における会場全体の一体感と高揚感は特に凄まじかった。 アンコール含めて、全29曲。今回は2日目の模様をレポートしたが、「Re-swim」と「eureka」の2曲以外は1日目のセットリストと曲被りなしという、まさに15年の歴史を総ざらいするような渾身の日本武道館公演であった。アンコールで、GENが「俺たちの旅はまだまだ続く」と宣言していたように、また「Feel」の中で〈まだ夢は続く〉と力強く歌っていたように、今回の2日間は彼らの長い旅における一つの区切りに過ぎない。 今後のアクションの一つとして今回のライブ中に発表されたように、来年の『YON FES』は6月開催で、例年以上にパワーアップして行われるという。フォーリミの旅はまだまだ続くし、きっとこれから先、今はまだ想像もできないようなスケールのステージへと、旅の仲間であるリスナーを導いてくれるはず。熱く豊かな実感をもってそう確信させてくれるような、4人の輝かしい自信と誇りに貫かれたライブだった。
松本侃士