亡きシンシア先輩のために…神村学園が涙の大逆転V!1秒差の大激戦「カロラインが主将としてまとめてくれた」/全国高校駅伝
◇全国高校駅伝・女子第35回(12月24日/京都・たけびしスタジアム京都発着:5区間21.0975km) 全国高校駅伝女子の総合成績&区間賞をチェック 高校駅伝日本一を決める全国高校駅伝が行われ、女子は前回3位の神村学園(鹿児島)が1時間7分28秒で5年ぶり2度目の優勝を果たした。 西京極にトップで戻ってきたのは仙台育英(宮城)。それを50mほど後方から神村学園のカリバ・カロライン(3年)が追いかける。 「トラックに入って先生の声が聞こえました。いつも、自分の走りは先生の声で行けるかどうか全部わかります」 有川哲蔵監督から「カロ!行ける行ける!」という言葉に背中を押されたカロラインは、フィニッシュ手前で仙台育英を逆転し、力を使い果たして倒れ込んだ。 「プラスマイナスはありましたが、各区間、設定通り走ってくれて、4区間よくつないでくれました」と有川監督。4区までは1、2年生。瀬戸口凜(1年)が区間13位、野口紗喜音(1年)が4人抜きと、区間順位こそ、ふたケタながら着実に前を追う。 3区の黒神璃菜(2年)が区間3位の力走を見せると、続く小倉陽菜(2年)がこちらも区間3位で5人抜き。3位でタスキをカロラインにつないだ。 「60秒差だったら(逆転可能)」と有川監督。だが、実際には仙台育英から1分20秒差。「最初の3kmは優勝は頭になかった」というカロライン。残り2kmで立命館宇治をかわして2位に上がると、グングンと前を追った。 残り1km。沿道の声が聞こえた。「シンシアのために頑張って!」。力がみなぎった。 2学年上の卒業生で、日立で活動していたバイレ・シンシアさんは、今年4月、20歳の若さで病気のためこの世を去った。 「今の3年生の面倒をよく見てくれて、シンシアがカロラインを育ててくれて、カロラインが日本人選手を育ててくれました。シンシアが残してくれた財産です。見守って力を貸してくれた」(有川監督) 留学生ながらキャプテンを務めたカロライン。「区間記録と優勝が目標でした。区間記録は出せなかったですが、優勝できて良かったです」。有川監督は「1年間チームをまとめてくれましたし、本人の3年間の努力の賜物です。これをきっかけに、1、2年生が来年、再来年と連覇を目指してほしい」と目にうっすら涙を浮かべた。 たった1人での大逆転劇ではなく、チームの“キャプテン”を信頼した後輩たちが自分の持てる力を出し、タスキをつないだ、神村学園らしい駅伝が結実した。
月陸編集部