【ウインナー炒め&玉子丼】なぜこんな場所に!? 偶然見つけた食事も飲みも堪能できる大衆食堂で昼酒を堪能:パリッコ『今週のハマりメシ』第130回
ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。 【画像】味わいのある外観 それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。 そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。 * * * 我が家のある、東京都練馬区の石神井公園から遠そうで近い街。西武池袋線の保谷駅近くで、ひとつ用事をすませ、その後、やたらめったらと街を徘徊していた。無目的な街徘徊は、僕の趣味です。その途中、ちょっと驚くような店を見つけてしまった。 駅からしばらく歩き、もはや商店もなくなった住宅街のなかに、その店「大衆食堂 きよし」はぽつんとあった。 時刻は午後4時前くらいだったろうか。そんな中途半端な時間ながらこの店は、堂々とのれんをかかげている。その横には「居酒屋」のちょうちんまでぶら下がっている。そもそも飲食店の絶対数がそれほど多くないこの街において、というか、大都市でもない西武池袋線のこのあたりにおいて、もしここが気軽に昼飲みできる店だったとしたら、それは奇跡かまぼろし級の存在と言っても過言ではない(土地勘のない方すみません)。 その日は夕飯の買いものなどをしてそろそろ帰らないといけない時間だったので、数日後、僕はきよしの真相を確かめに向かった。 時刻は一般的なランチのピークタイムを外した午後1時半ごろ。さてどんな店だろうかと、どきどきしながら入店すると、店内に先客はいなかった。 シンプルなカウンター数席に、小上がりのテーブルがふたつ。ものが多く雑然としているが、掃除は行き届いていて清潔感がある。すでに完全に、僕の大好きなタイプの店だ。 メニューを見ると、おぉ、確かにまごうことなき、大衆食堂&居酒屋! 料理も酒も、ちょっと時代を間違えてるんじゃないの? ってくらいリーズナブル。 日替わりのボードメニューもあって、刺身類まで数種ある。その他の一品料理も興味深いものばかり。う~む、いいとしか言いようがない。さてどうするか。まずは「レモンサワー」(300円)を頼んでおいて、じっくり考えていくとしよう。 でかめのジョッキ、濃いめの中身、カットレモン。なんて理想的なレモンサワーだろうか。初夏の午後の陽光が注ぎ込む店内ですするそれがうますぎる。 すぐに、「お通しです」と届いた小皿には、こんぶとあつあげとたけのこの煮ものがたっぷりとよそわれていた。 「優しい味」という表現があまりにもしっくりくる、ほの甘いお通し。そのレモンサワーとの対比が鮮やかで、今の状況、夢じゃなくて本当に現実だろうか? と不安になってしまう。ほっぺたをつねりつつメニューを決めた。あまりにも魅力的な品が多いので直感で、「ウインナー炒」(450円)と「ナスしょうが焼」(350円)で!
【関連記事】
- 【チキン南蛮】だまされたと思って食べてみてほしい「れんげ食堂Toshu」の「チキン南蛮定食」:パリッコ『今週のハマりメシ』第129回
- 【梅がゆ】風邪じゃなくても毎日食べたい。空前の梅がゆブーム到来!:パリッコ『今週のハマりメシ』第128回
- 【カツ煮定食】成増の奇跡。定食屋の名店「やまだや」で過ごす、極上の昼飲みタイム:パリッコ『今週のハマりメシ』第127回
- 【ブラックカレー】小宮山雄飛さんプロデュースの「渋谷ブラックカレー」が、ぐうの音も出ないほどガチだった:パリッコ『今週のハマりメシ』第126回
- 【麻辣湯麺】スープも具材も自分で選ぶ「楊國福」の麻辣湯麺が楽しくて美味しい!:パリッコ『今週のハマりメシ』第125回