プロ棋士と手合わせ 指導対局 新鋭・高橋四段を迎え 日本将棋連盟飯田支部【長野県飯田市】
日本将棋連盟飯田支部は16日、同連盟所属のプロ棋士・高橋佑二郎四段(24)を迎えた指導対局を長野県の飯田市勤労者福祉センターで開いた。子どもから大人までの将棋愛好家が参加し、普段は経験できないプロ棋士との直接の手合わせを楽しんだ。 高橋四段は今年4月に奨励会三段リーグを勝ち抜け、四段プロデビューしたばかりの新鋭。千葉県船橋市出身、加瀬純一七段門下。公式戦は16日現在で2勝1敗の成績だが、そのうちの1勝は5年前のタイトル戦(棋王戦)に挑戦した若手の実力者、本田奎六段(26)に勝利するなどデビュー早々にブレークを予感させている。指導対局で地方を訪れるのは飯田支部が初めて。 対局は一度に複数人を相手にする多面指し形式で行った。対局者が指した手に対し、プロは一瞬で判断して次の手を指し、隣の対局者の席へ移動。再びプロがやって来る前に、対局者は次の手を指す。これを繰り返す。 この日は6人の参加者が高橋四段に臨む6面指し。高橋四段は対局者の棋力に応じたハンディ戦(駒落ち)で向き合った。対局中でも、高橋四段が最善手や手筋のアドバイスを送る場面も。終局後は感想戦で急所の場面を丁寧に解説するなど、終始和やかな雰囲気で進んでいた。 参加者の一人、上郷小学校2年の児童(7)は祖父に教わり、昨年7月から本格的に将棋に打ち込むようになったばかりだが、今年5月に塩尻市で開かれた将棋の県大会では低学年の部で3位に入るなど急成長を見せている。「プロの先生に教えてもらいたいと思い参加した。とても勉強になった。自分もプロを目指したい」と目を輝かせた。対局した高橋四段は「まだ経験が浅いのに、将来がとても楽しみ」とエールを送っていた。 阿南町富草の男性(75)はプロの二枚落ち(飛角落ち)で対戦し見事に勝利。「将棋ソフトで勉強してきたかいもあり、初めてプロの方に勝つことができた」と満面の笑み。小学校のクラブの講師をしており「今後の普及活動につなげていきたい」と話していた。 対局を終えた高橋四段は「飯田支部の皆さんは金銀を活用した腰の入った将棋を指す方が多い印象で、強かった」と総括。始まったばかりのプロ人生については「初参加の棋戦もたくさんある。一つでも多く勝ち上がって羽生善治九段をはじめとするトップ棋士と対戦できるように精進したい」と抱負を語っていた。