【ラジオNIKKEI賞】宗像義忠調教師がシリウスコルトと挑む地元・福島最後の夏「ファンの期待に応えたい」
今週から開幕する福島競馬のメインはラジオNIKKEI賞。地元出身の宗像義忠調教師(69)=美浦=がシリウスコルトで挑戦する。トレーナーは来年3月の定年引退が決まっており、夏の福島開催は最後。心身ともに成長著しい期待馬で、故郷に錦を飾るつもりだ。 ◇ 調教師生活ラストとなる夏の福島で、故郷に錦だ。来年3月で定年を迎える宗像調教師が、ラジオNIKKEI賞にシリウスコルトを送り出す。 「夏の福島は最後だから、ファンの期待に応えたいね。楽しみにしています」 福島県田村市出身の指揮官にとって、福島競馬場はホースマンとしての原点だ。幼い頃、父に連れられて何度も足を運び、「それが競馬に興味を持つきっかけになったね」と語る。その後、調教助手を経て1993年に厩舎を開業。待望の初勝利を挙げたのは、同年夏の福島(6月27日1R・トライアム)だった。 「開業してから全く勝てなくてね。『俺はもうずっと勝てないのか』と思っていたから、本当にうれしかった。それに馬主さんも福島の人で、ご家族も競馬場に来ていたから喜んでくれていたんだよ」と懐かしそうに振り返る。2002年にはウインブレイズでカブトヤマ記念、福島記念と当地の重賞を連勝。思い出の地で、新たな勲章を手にしたい。 トレーナー期待のマクフィ産駒は弥生賞ディープインパクト記念で3着に逃げ粘り、皐月賞に挑戦。2番手で積極的に運んだが、速い流れが向かず14着に終わった。「ハイペースだったし、苦しくなってしまった。うまくいかなかったね」とトレーナーは振り返る。 それから2カ月半の休養を挟み、心身ともに着実に成長。課題の燃えやすい気性は改善傾向にあり、「放牧を挟んで戻ってきてから落ち着いていますね。馬体の張りもいいし、先週から良くなってきています」と好感触を得ている。25日も美浦の角馬場でリラックスした雰囲気を醸し出していた。 福島は芝1200メートルの新馬戦で勝利を収めた舞台。今回の舞台は1800メートルだが、「小回りでスピードが生きる舞台だし、実際勝っているように相性がいい。うまく先行できれば」と開幕週の馬場も味方に粘り切る算段だ。クラシックを経験してひと皮むけたシリウスコルトとともに、宗像調教師が郷里で忘れられない夏の思い出を作る。(綿越亮介)