<福岡県行橋市>小学校体育館の天井「吸音材」から危険性の高いアスベスト検出 約20年間管理されず放置
◆分析調査せず約20年間放置
2005年7月の労働安全衛生法(安衛法)石綿障害予防規則(石綿則)施行により、吹き付け石綿の管理義務が設けられた。ところが市は2006年の調査で見落とし、約20年にわたって管理もされないまま放置されることになった。 市教委は同様の状況がほかの小中学校にないか市内計17校について「鋭意調査中」(同)だが、調査を担う学校管理課には建物などの改修・解体時に石綿調査をおこなう「建築物石綿含有建材調査者」は課内に1人もいない。 調査者制度は建物使用時の石綿調査・管理のために作ったものであることを指摘すると、「初めて知りました」(同)と驚いたようすだった。講習制度が始まって10年以上になるが、いまだこの状況である。 全国で吹き付け石綿の見落とし事案が相次いでいる。そのたびに講習も受けていない、知識もない“素人”が調査をしている。その後改修・解体のタイミングで再び見つかることが繰り返されている。 学校の吹き付け石綿は1987年にも大きな問題になったほか、2005年以降も何度も国が通知を出すなどして注意喚起している。建物などの改修・解体時における有資格者による石綿調査はようやく2023年10月から義務づけられたが、建物使用中の調査は対象外。いまだ“素人”調査が許されている。 建物の管理や工事を発注する部局が石綿の知識を持たなくてもよい現状の仕組みには無理がある。国土交通省は講習制度を活用してほしいというが、10年たっても自治体にその存在すらほとんど知られていないのが実態だ。建物の改修・解体と同様に義務づけるなど、規制の抜本強化をしない限り、延々と同じことが繰り返されるだろう。