ピーター・グリーナウェイ特集上映、ヒグチユウコ×大島依提亜が「ZOO」ポスター描く
画家・ヒグチユウコ、グラフィックデザイナー・大島依提亜の2人が手がけた「ZOO」のオルタナティブポスターが解禁。同作は特集「ピーター・グリーナウェイ レトロスペクティヴ 美を患った魔術師」の1本として上映される。 【動画】「ピーター・グリーナウェイ レトロスペクティヴ 美を患った魔術師」予告編 イギリスの映画監督であり、画家、アートディレクターとしても活動するピーター・グリーナウェイ。本特集では彼が1982年に発表したミステリー「英国式庭園殺人事件」や、腐敗していく動物の死骸にとらわれた双子の物語「ZOO」といった、音楽家マイケル・ナイマンが楽曲を手がけた4作品が上映される。 グリーナウェイ作品のファンを公言するヒグチと大島。このポスターを描くにあたり、ヒグチは「この映画のシンメトリーでの計算された魔力ある画。そのすばらしさに打ちのめされながらペンを走らせました」と述べる。大島は「思えば、大作映画しか知らなかった高校生の自分が、“映画をこじらせる”最大要因となった『ZOO』、この映画にまだ出会っていない方、ぜひこれを観て映画をこじらせてほしい!」と期待を込めた。 また今回の発表にあわせ、各界著名人からのコメントも到着。「ピーター・グリーナウェイの枕草子」に出演した光石研は「1995年1月。オーディションを経てピーター組に参加した僕は自分の無力さを痛感した。監督の『美』への探究心と俳優への洞察力。手も足も出なかった。紛れもなくピーター組は、僕のターニングポイントになった」と回想した。ほかコメントは下記の通り。 「ピーター・グリーナウェイ レトロスペクティヴ 美を患った魔術師」は、3月2日より東京のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次開催。 ■ ピーター・グリーナウェイ レトロスペクティヴ 美を患った魔術師 2024年3月2日(土)~ 東京都 シアター・イメージフォーラムほか <上映作品> 「プロスペローの本(HDリマスター版)」 「数に溺れて(4Kリマスター版)」 「ZOO(HDリマスター版)」 「英国式庭園殺人事件(4Kリマスター版)」 ■ ヒグチユウコ(画家)コメント グリーナウェイ作品はひとつは描いてみたい…選べるならZOOがいい、しかし叶わぬ夢と思っていたので驚愕。この映画のシンメトリーでの計算された魔力ある画。そのすばらしさに打ちのめされながらペンを走らせました。 ■ 大島依提亜(グラフィックデザイナー)コメント 思えば、大作映画しか知らなかった高校生の自分が、“映画をこじらせる”最大要因となった「ZOO」、この映画にまだ出会っていない方、ぜひこれを観て映画をこじらせてほしい! ■ 光石研(俳優)コメント 1995年1月。オーディションを経てピーター組に参加した僕は自分の無力さを痛感した。監督の「美」への探究心と俳優への洞察力。手も足も出なかった。紛れもなくピーター組は、僕のターニングポイントになった。今回のレトロスペクティヴは、その時の思いを持って浴びたいと思います。皆様もどうぞ。 ■ 馬場敏裕(サウンドトラックナビゲーター)コメント 危険で甘く知的で悪い冗談、グリーナウェイ×ナイマンが産み出した世界でないと未だにこの陶酔は味わえない。 ■ 後藤護(暗黒批評)コメント シェイクスピアの「魔術的ルネサンス」(F・イエイツ)をえげつない知識量とマルチレイヤーの惑乱的映像によって表現した「プロスペローの本」に驚愕! グリーナウェイ映画の光速で過ぎ去っていく映像と情報のポトラッチに対応・返礼できるのはデジタル・ネイティブ世代だけだろう。感性を博識で超えていくこれぞ逆パンク! ■ 石黒亜矢子(絵本作家)コメント 学生の頃、レンタルビデオ屋で常に貸出中で一度も借りれなかったZOOを今、やっと観た。ずっと秘密にしておきたかった性癖、嗜好をそれはそれは美しく映像化され晒されたような衝撃。私の脳内に一つ全く違う扉が創られてしまった。 ■ 東京藝術大学お嬢様部 コメント 「英国式庭園殺人事件」について 自身を「映画という媒体に身をおいた画家」とみなすグリーナウェイの神髄。悦びと同時に混乱を覚え、美しさに魅入られながらも親しみからは遠く離れた冷徹な映像に、現代社会から消えて久しい“恍惚”が充満しています。 ■ 堀米春寧(アーティスト)コメント 綯い交ぜの鋭さにより生まれ落ちたグリーナウェイの御伽の国はどろっと赤い蜜の味、絢爛を裂きむしりたいという衝動にかられたのは初めてだった。磨きのかかった構図に奢侈に縫い込まれた装飾、人間の内から溢れたいじらしい目。透明と程遠い狂気のいかに分厚いことか。骨肉に侵食した毒のささやきは私たちをなめらかに発狂させる。 ■ イーガル(作曲家 / ピアニスト)コメント グリーナウェイ映画において、ナイマンの音楽は、静謐で美しい絵画的な映像を彩る、額縁だ。グリーナウェイの狂気をなだめ、助長し、そして気品を与える、クラシカルで現代的な、額縁の音楽。 ■ 矢島沙夜子(アートディレクター / 小楽園 店主)コメント 彼の見る風景。それは“リスト”に無いものは一切の生存を許さない、超支配的な王国。画面内にちょうどぴったり99匹の野生の羽虫が必要だったら、その数がそこに集まるまで永遠に待ち続けるだろう。完全無欠な画作りに対する狂気と、それに見合ってあり余る暴力的なまでの美しさ。