＜センバツここに注目＞沖縄尚学・東恩納蒼 「何を投げても打たれそう」からの再出発
3月18日に開幕する第95回記念選抜高校野球大会。主役候補の注目選手を担当記者が紹介します。沖縄尚学の東恩納蒼（ひがしおんな・あおい）投手（2年）は昨秋、夏の甲子園覇者の仙台育英（宮城）をあと一歩まで追い詰めました。悔しさを胸に、センバツに挑みます。 【第95回センバツ出場決定 各校の喜び】 ◇「ピンチでも直球に頼れる投球を」 しなやかな投球フォームから繰り出す最速145キロの直球に加え、スライダーやチェンジアップなど多彩な変化球も操る九州屈指の右腕だ。 昨秋の公式戦では登板した9試合のうち5試合で完投した。九州大会1回戦の鳥栖（佐賀）戦では緩急自在の投球で14三振を奪った。その後もエースとして、チームの九州大会優勝に貢献した。だが、打線に助けられた試合もあったことから「ピンチを無失点で切り抜ける投球ができなかった」と満足はしていない。 悔しさが残ったのは、明治神宮大会初戦の仙台育英（宮城）戦だった。4点リードの九回、相手打線につかまり5点を奪われて逆転サヨナラ負けした。マウンドで追い込まれ、「何を投げても打たれそうな気がした」。 悔しかったが、今は前向きにとらえている。「全国で戦う相手は4点差でもひっくり返す力を持っていると実感できた」。秋は直球に自信が持てず、変化球に頼る投球になった。その反省を踏まえて、冬場は直球のキレを磨くために筋力トレーニングや遠投に取り組んできた。 小学2年で野球を始め、甲子園を目指して地元の那覇市内にある沖縄尚学に進んだ。OBには東浜巨（ソフトバンク）らプロで活躍する選手も多い。「『自分たちもやればできるんだ』という力になる」と努力の源にしている。 「甲子園ではピンチの場面でも直球に頼れるような投球がしたい」。1999年、2008年に先輩たちが成し遂げたセンバツ優勝を、再びつかみにいく。【黒澤敬太郎】
