【戸田ボート・SGクラシック】枝尾賢「亡き義父に情けない姿は見せられない」
〈15日・戸田ボート・初日〉 年末のグランプリまで続く、長くて険しいSGロードの幕が開いた。その最初のレースを制したのは福岡支部の枝尾賢だ。初日1R、枠なり2コースからイン長田頼宗を先に回してハンドルを入れると、「あれ? 差さったよ」と本人もびっくりするほどにすんなりと差し切って白星を挙げた。 さらに6号艇だった後半8Rも、最内を差して3着入線。「初日は(展開に恵まれて)もうかりました」。思わぬ幸運を強調したが、強気と冷静さを併せ持つ、枝尾らしさの一端を見せた内容。「上々の初日ですね」。レース後は持ち前のスマイルが全開だった。
期する思いがあっての参戦だ。前節の江戸川周年は途中帰郷。「妻の父が亡くなりまして・・・。76歳でした」。妻は同じ福岡支部の元レーサー森永愛さんで、その父は同じく元レーサーの森永修さん。昨年11月、大村周年を制してこのクラシックの出場権を得た際には「頑張って来いよ」と後輩でもある娘婿を心から応援してくれていたが、近頃は調子が悪く、意識もなかったという。 「初七日も済ませて戸田に入りました。(格好悪い)変な姿は見せられません。最低でも準優には進みたい」。その思いを実現させるため、初日の成績を継続させる。 前田将太も、枝尾と同じく2コースから白星を挙げた。こちらの決まり手はまくり。後半9R、素性抜群機のイン上條暢嵩をツケマイで沈める圧巻の攻めを披露した。 「スリットあたりの足は周りと一緒。ターンで勝てた」と好内容に胸を張った。
さらに圧巻は連勝劇の新開航だ。前半はインから伸び返して押し切り勝ちを収めれば、後半は5コースから02のトップSを決め、一気にまくった。 「スリット近辺がいいので、Sでのぞけば面白いなと思っていた」という思惑通りの勝ち方はあっぱれの一言。「02は行き過ぎでしたが」と頭をかいたが、ぎりぎりを攻めた上でのS勘の修正力が、今の勢いに他ならない。2日目以降もパワフルに攻め立て、ポイントを荒稼ぎする。