シャネルがトレーサビリティ団体設立 資生堂、ロレアル、エスティ、ディオールなど15社が参画
設立の背景には、近年の気候危機、国際紛争、健康に対する懸念などによりサプライチェーンの問題が生じたことや、国内外の規制が厳しくなっていることが挙げられる。TRASCEは声明で、「サプライチェーンへの理解促進、社会的・環境的リスクの軽減、持続可能なビジネスモデルへの移行を支援することが不可欠となっている」と述べた。
シャネルが設立をけん引
シャネルは企業同士が協力することの重要性を訴える。同社で梱包や調達のイノベーション開発に携わるジュリアン・ギャリー(Julien Garry)=インターナショナル・ディレクターは、サプライチェーンのマッピング作業に数年間取り組んできたが限界を感じたという。「直接関わりがない遠方の取引先の協力を得るのは時にとても難しかった。そこでサプライチェーンをできるだけ広い範囲で素早く追跡するために、各社に協力してもらうことを提案した」と話す。
エスティ ローダー カンパニーズで責任ある原材料の調達を指揮するメーガン・ライアン(Meghan Ryan)=エグゼクティブ・ディレクターは、参加に際して「デジタルツールを共有して密に協力することで、人や環境への影響に注意を払い、責任ある調達により透明性を向上させる機会になる」とコメントした。
化粧品の顔料やピグメントを製造するドイツ企業メルクのカール・ヘンセン(Karl Hensen)=クオリティー・ディレクター・サーフェス・ソリューションズは、「TRASCEは真の資産だ。多様なブランドとサプライヤーが参画することでより強い力を持つ。業界全体で統一されたトレーサビリティツールを共有することの重要性を確信している。わが社のサステナビリティ戦略にも寄与し、他の業界のロールモデルにもなるだろう」とTRASCEの可能性を述べた。