2030年代開業 「有楽町線」「南北線」の延伸は本当に東京を変えられるのだろうか?
都心再編の一歩
東京都が、有楽町線豊洲~住吉間と南北線品川~白金高輪間の延伸について、6月に都市計画を決定する。前者は約5.2km、後者は約2.8kmだ。両線は2030年代半ばに開業予定だ。東京の都市構造は大きく変わるが、それは将来にどう影響を与えるのだろうか。 【画像】えっ…! これが40年前の「白金高輪駅」です(計15枚) 有楽町線の延伸は、臨海副都心から東京東部の拠点開発を加速し、江東区の新たな地域拠点と国際競争拠点とを結ぶことで、地域の活性化と国際化の両立を図ることが期待できる。その前提である具体的な効果、すなわち 「延伸による時間短縮効果」 は見逃せない。東京メトロの試算では、有楽町線の延伸によって豊洲~住吉間の移動時間が20分から55%減の「9分」に短縮されるとしている。この劇的な速達性の向上により、 ・都心部 ・臨海副都心 ・江東区東部 の連携強化が飛躍的に進む。東京の新しい時代の幕開けを告げる、歴史的な一歩となるかもしれない。また、延伸区間には新たに ・枝川 ・東陽町 ・千石 の3駅が設置される予定だ。これにより、現在は鉄道アクセスが不便な地域でも、鉄道の利便性が格段に向上することになる 新駅の誕生は沿線地域に新たな活力をもたらす。近年、東京東部、特に臨海副都心周辺では再開発や人口増加が進んでいる。2023年の人口増加率を見ると、江東区は23区のなかで最も高い1.32%を記録した一方、大田区は0.04%、世田谷区は0.08%の減少となった。これは、東京東部の今後の発展の可能性を示唆している。
都市構造を揺るがす品川革新
そんな東京東部でも、地域によって人口動態に大きな差が生じている。 例えば、内陸部の旧工業地域では空洞化が、下町の地域では防災面の課題が深刻化している。鉄道ネットワークの充実は、再開発も促進し人口の偏在を修正する効果もあるだろう。 こうしたなか、江東区では、延伸を見据えた新駅予定地周辺のまちづくり方針を積極的に策定している。例えば、千石2丁目周辺では親水空間の創出や商業・業務機能の誘致を、東陽町駅周辺ではMICE(国際会議や展示会)施設や外国人向け医療施設の整備などを進める計画だ。鉄道延伸とまちづくりの連携により、東京東部は新たな活力を得る。 一方、南北線の品川延伸は、都心部と再開発が進む品川駅周辺とを直結し、東京の都市構造を根底から揺るがす変革をもたらすだろう。品川駅は、リニア中央新幹線の始発駅としての機能も加わり、国際的なターミナル駅としての役割がさらに高まる見込みだ。南北線の延伸は、こうした品川駅の変化に対応し、新たな人の流れを生み出すことが期待されている。 南北線延伸は、東京都市圏交通計画において、都市の国際競争力強化に資する施策のひとつに位置づけられている。羽田空港や品川駅へのアクセス改善により、東京の玄関口としての機能強化が見込まれるが、それだけではない。この延伸は、東京の 「国際競争力」 を飛躍的に高める起爆剤となるかもしれないのだ。