ネット証券会社から「運用報告書がアップされました」と通知がきました。運用報告書には何が書かれているのですか? 内容が難しくてあまり理解できませんでした
投資信託を保有している人に宛てて運用報告書が送られてきます。ネット証券やネット銀行経由で投資信託を保有している人は、オンラインのご自身の口座管理画面などから、運用会社が配信した運用報告書をPDF形式で閲覧します。では、運用報告書には何が書いてあるのでしょうか?
運用報告書とは、投資信託の通信簿
投資信託の特徴の1つに「専門家に運用を任せることができる」というものがあります。その専門家による運用の通信簿に当たるのが運用報告書です。運用報告書は投資信託を保有している人に送られますが、運用会社のサイトから誰でも閲覧できます。目論見書とは異なり閲覧は義務ではありません。 なお、運用報告書には交付運用報告書と運用報告書(全体版)の2種類があります。本稿では交付運用報告書について記します。運用報告書(全体版)は交付運用報告書に比べると、より詳しく書かれています。運用報告書(全体版)も運用会社のサイトから閲覧できます。 <運用報告書を作成するのは決算期ごと> 運用会社では、運用報告書は決算期ごとに作成することになっています。なお、投資信託の中には「毎月、決算」という、決算期間が「1ヶ月ごと」というものもあります。決算の期間が「6ヶ月未満」の投資信託については、6ヶ月ごとに運用報告書を作成することになっています。
運用報告書には何が書いてある?
<運用経過について> 決算期間中の運用経過については、次の順番で載っています。 ●基準価額などの推移と主な変動要因 ●1万口当たりの費用明細 ●最近5年間の基準価額などの推移 ●当該投資信託の投資環境 ●当該投資信託のポートフォリオとベンチマークとの差異 ●分配金の表示について 主な変動要因や投資環境は文章で説明しています。その他はグラフや表などを使用して説明しています。特に分配金の額はゼロの場合「0円」と表示されます。 <今後の運用方針> 日本株式や先進国債券などの組入資産ごとに、目論見書に記載された今後の運用方針が示されています。 <お知らせ> 決算期間中の、約款や運用体制の変更等の、大切なお知らせが書かれています。 <投資信託の概要> 商品分類や信託期間、運用方針、主な投資対象、運用方法、そして分配方針が一覧表にまとめられています。 <代表的な資産クラスとの騰落率の比較> 参考情報として、投資信託の交付目論見書に書かれた「代表的な資産クラス(例えば、日本株式や先進国株式、新興国株式)との騰落率の比較」について、騰(プラス)落(マイナス)率とともに、平均が棒グラフで載っています。 <投資信託のデータ> 組入資産には、組入上位ファンド・資産別配分・国別配分・通貨別配分等が、記載されます。また純資産等では、各期末の純資産総額と受益権総口数が確認できます。そして、マザーファンド方式やファンドオブファンズ等の場合には組入上位ファンドの概要などが、それぞれグラフや表を用いて載っています。
まとめに代えて
交付目論見書とは異なり、運用報告書の閲覧は義務ではありません。しかし、冒頭に述べたように運用報告書は投資信託の通信簿です。自身のお金を専門家に任せるに当たり、専門家がどのような運用をしてきたのかを確認することができるのが運用報告書なのです。 執筆者:大泉稔 株式会社fpANSWER代表取締役
ファイナンシャルフィールド編集部