復興誓い墓参り 旧盆入り、奥能登で続々 シートで覆われたままの墓石に
●「もう少し我慢して」修繕依頼殺到も人手足りず 旧盆入りした13日、能登半島地震で甚大な被害を受けた奥能登の墓地で、家族連れらが続々と墓参りに訪れた。激しい揺れで墓石が崩れ、ブルーシートで覆われたままの墓も目立つ。地元住民は先祖に「もう少しの間、この状態で我慢して」と語りかけながら、早期復興を誓った。 輪島市河井町の弥生墓地では、地震で土台から落ちて横倒しになったままの墓石があり、通路には亀裂や段差ができた。家族連れや夫婦は安全に注意しながら歩を進め、先祖が眠る墓に花や線香を手向けて静かに合掌した。 自宅が全壊して仮設住宅に入居している同市二勢(ふたせ)町の藤田宏昭さん(63)は、ブルーシートが掛けられた墓石に手を合わせ、「お盆までにお墓を直したかったけど、自分たちの生活で精いっぱいだった。お墓はまだ直せていないが、お参りできて良かった」と話した。 河井町で民宿を経営する天野諭(てんのさとし)さん(45)は地震で倒壊した墓石を7月中旬に復旧できたという。「旧盆に間に合い、先祖にお参りできて安心した」と語った。 墓地の土地を貸与する市では「市内の公営墓地では、ほぼ全ての墓石が被害を受けた」と見込んでいる。このため、奥能登の石材業者に修繕依頼が殺到しているが、人手が足りずに工事が進んでいないのが実情。 共有部である通路の段差などの修理は市が行う予定だが、担当者は「今は市民生活の再建を優先しており、復旧はまだ先になる」と話した。