加藤勝信氏

　選挙結果を受け、自民党内ではポスト石破レースが始まる。 　まず名前が挙がるのが、9月の総裁選で首相との決選投票で惜敗した高市早苗前経済安全保障担当相。ただ支持母体だった旧安倍派は裏金事件の震源地で、今回議席数を減らしたことから、党関係者は「高市氏の目は厳しくなったのではないか」とした。 　党が大混乱の中、求められるのは「安定性と実務能力の高さ」（党関係者）。取り沙汰されているのは加藤勝信財務相、林芳正官房長官の名前だ。2人とも政策通で、加藤氏は首相経験者が「安定感は抜群」と周囲に話して回るほど。林氏は閣僚辞任に伴う緊急登板が多く、誕生日が1月19日であることから“政界の119番”の愛称がある。「党が緊急事態の今、出動の好機だ」（党関係者）。来夏の参院選の顔として、小泉進次郎選対委員長に期待する声もあるという。 　ここにきて動向に注目が集まるのが岸田文雄前首相だ。8月14日に突然、総裁選への不出馬を表明。表向きは裏金事件への「トップとしての責任」としたが、支持率低迷で出馬して惨敗するより、再登板を視野に入れて影響力を残す道を選んだ、と指摘された。総裁選では決選投票で岸田派議員らに「高市氏は好ましくない」と表明。石破総裁の逆転勝利の立役者となった。林氏が総裁となれば自派閥からで、キングメーカーぶりを誇示できる。ただ裏金問題への対処がほとんどできず、“増税メガネ”などとやゆされて退陣しただけに、永田町関係者は「岸田さんがまた首相になれば、国民は相当怒るはず」と話した。