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スポティファイの最高人事責任者によると、同社はどこからでも働ける「WFA」の方針を維持するという。 スポティファイではWFA導入後の2022年に、離職率が前年より15%低下し、職場の多様性が向上した。 多くの大手企業が、生産性の向上とコラボレーションの増加といったメリットがあるとして、オフィス復帰を義務付けるようになっている。 アマゾン（Amazon）は従業員に週5日のオフィス復帰を命じているが、スポティファイ（Spotify）は追随しないだろう。 スポティファイの最高人事責任者であるカタリナ・バーグ（Katarina Berg）は、10月7日に公開されたビジネス系ニュースサイトRaconteurのインタビューで、同社がどこからでも働ける「WFA（work-from-anywhere）」方針を採用していることを改めて強調し、「仕事とは、特定の場所に行くことではなく、行うものだ」と述べ、同社のこれまでの考え方を繰り返し述べた。 「かなりの時間をかけて大人を雇っておきながら、後になって子どものように扱うわけにはいかない」 デジタル音楽プラットフォームであるスポティファイが初めてWFAを導入したのは2021年2月だった。従業員は上司と協議の上、フルタイムの在宅勤務あるいはオフィス勤務、ハイブリッド勤務を選べるようになった。 同社はまた、従業員が働ける国や都市に関する柔軟性も拡大し、オフィスの近くでない場所でも働けるようにした。 バーグによると、オフィス勤務を好む従業員もいることから、スポティファイでは今後もオフィスを維持し、チームが対面で集まることを推奨する「コアウィーク」を設ける予定だという。 それに対する従業員の反応も良好なようだ。WFAが導入されてからわずか1年後の2022年第2四半期には、前年同期比で離職率が15%低下し、採用にかかる日数は6日短縮、さらに職場の多様性が向上したと、フォーチュンが報じていた。 しかし、リモートワーク優先のアプローチには課題もあるとバーグは認めており、オンラインでのコラボレーションが「難しくなる」と指摘した。こうした懸念から、スポティファイはストックホルム商科大学と協力し、リモートワークがイノベーションや共同作業に与える影響についてさらに研究を進めている。 だが「それはトレンドが変わり次第、従業員にオフィスへの出社を強制するという意味なのかといえば、そうではない」とバーグは言う。 スポティファイはWFAを維持することを強調したが、これは従業員の出社日数を増やそうとする現在のトレンドに逆行している。COVID-19の制限が緩和されるにつれて、パンデミック時に採用していたハイブリッド勤務の方針を撤回する大手企業が増えている。 アメリカの多くのオフィスで採用されているスマートウォーターディスペンサーのメーカーであるBeviが9月に発表したレポートによると、2023年の平均的な出社日数は、週2.7日だったが、2024年には週3日を超えた。アマゾンは2025年1月から週5日出社を求める方針を示しており、ゴールドマンサックス（Goldman Sachs）やJPモルガン（JPMorgan）はすでに、完全な週5日出社を要請している。これまでリモートワークに寛容だったメタ（Meta）まで、出勤状況を監視するという脅しをちらつかせながら、出社日数を増やそうとしている。 多くの経営幹部やリーダーは、オフィスへの復帰（Return to Office：RTO）を義務付けている。従業員が対面で一緒に働くことで生産性が向上し、コラボレーションの機会が増えると考えているからだ。 例えば、マーク・ザッカーバーグ（Mark Zuckerberg）は、メタのパフォーマンスデータを引用し、「在宅勤務をしている人は効率的な仕事をしておらず、出社しているエンジニアの方が多くの仕事をこなしている」ことが示されたと述べた。