ヴェルメイユ賞2着から挑むアヴァンチュール（（C）scoopdyga）

　アヴァンチュール（牝3、C・フェルラン）は危険な人気馬だ－。4走前、ロワイヨーモン賞の圧勝劇を見て、「化け物だ」と感じた人も多いかもしれない。直線で抜け出すと、鞍上のギュイヨン騎手が余裕のパフォーマンスでゴールし、2着に7馬身差。確かにド派手な走りだった。 　とはいえ、仏ダービー当日、重い馬場で行われたレースで、アヴァンチュールの上がり3ハロンは35秒94。上がり3ハロンで次位の馬が37秒00だったので、他馬が止まったことによる圧勝劇だった可能性は大いにある。同日に同じ距離（芝2400メートル）だった古馬のG2シャンティイ大賞の馬たちは上がり3ハロン34秒台をマークしている馬がいるし、距離が違うにしても、仏ダービー（芝2100メートル）のルックドゥヴェガは同35秒61、ソジーは同35秒88をマークしている。アヴァンチュールの末脚が化け物級だったかどうかは疑問だ。 　ヴェルメイユ賞2着で、負担重量面も有利な3歳牝馬。一時期、日本では「3歳牝馬を凱旋門賞に挑戦させるべき」論が流行ったことがある。 　象徴的だったのが、記念すべきJRAによる初めての海外馬券発売だった2016年の凱旋門賞（舞台はシャンティイ）。日本のファンはヴェルメイユ賞を勝ったばかりの3歳牝馬レフトハンドを4番人気にしてしまった。現地では7、8番人気程度の馬だったのだが…、結果は12着。まさに危険な人気馬だったレフトハンドこそ、何を隠そう、アヴァンチュールの8歳上のお姉ちゃん（半姉）だ。8年前の危険な人気馬の妹は今年、新たな「危険な人気馬」になる可能性を秘めている。