在日ネパール人が「ネパール地震支援に恩返し」 29日にセレモニー
昨年4月25日に発生したネパール地震から1年あまり。その際、日本から受けた支援に対する恩返しの意味を込めて、在日ネパール人の人たちが熊本地震で被災地入りし、炊き出しを行った。29日には、北海道から沖縄県まで全国16都道府県の計26か所で、感謝と追悼のセレモニーを開催する。
熊本市で行ったカレーの炊き出し
熊本地震発生から約1週間後の20日、熊本市の熊本学園大学で、30人あまりの在日ネパール人が炊き出しボランティアに参加した。かながわ国際交流財団の職員で、海外在住ネパール人協会のアドバイザーを務めるジギャン・クマル・タパさん(36)もその1人。 チキンカレーを提供したところ、「避難所のみなさんからは、『おいしい』、『会いにくれてありがとう』と言われました。中学2年生の女の子は、わたしたちボランティア全員に折り紙を折ってくれました」と振り返る。自分たちの食事は二の次で支援活動に力を注いでいたほかの日本人ボランティアにも炊き出しを用意して、大いに喜ばれたという。 タパさんは、昨年のネパール地震を思い返した。首都カトマンズの南20キロにある実家が倒壊した。家族が被災した経験を身を持って知っている。動きは早かった。2回目の地震を受けて16日、大使館・ネパール協会で対策本部を設立。その共同代表を務め17日に食糧と水などを現地に送付。現地入りを模索した。 「家がなくなることがどういうことか、身をもって体験しました。困っている状況が発生したら行ける人が行くしかないと考え、他のネパール人にもボランティアへの参加を呼びかけました」と話す。
29日に感謝と追悼のセレモニーを開催
「在日ネパール人による感謝と追悼セレモニー」と題した29日に開く予定のセレモニーは、ネパール地震からちょうど1年後の4月25日に行う予定だった。しかし、直前に発生した熊本地震へのボランティア支援を優先し、この日まで開催を見合わせてきたのだという。 セレモニーは、東京都をはじめ、北海道や宮城県、愛知県、大阪府など全国26か所で実施する。午後3時に一斉に開始し、街頭に立った在日ネパール人有志がネパール地震への支援に対する感謝のしるしとして特製はがきを配布する。東京都内では、新宿駅東南口、 池袋駅東口、 渋谷、 阿佐ヶ谷、 上野、蒲田などで行う予定。 今年はネパール日本国交樹立60周年にもあたる。当日はタパさんも街頭に立ち、日本からの支援に対する感謝の気持ちを伝えるつもりだ。「ネパールも大変でしたが、少しずつ前に進んでいます。熊本も少しずつ復興に向けて前に進むことを願っています」。 (取材・文:具志堅浩二)