韓国代表の顔として活躍したキム・ダンビ…日本代表からの花束に「感謝と感動」
昨年10月に行われた「第19回アジア競技大会(2022/杭州)」。この大会では女子日本代表の全試合がテレビ放映されたが、準決勝の試合後には、普段は目にしないような光景が映し出された。 準決勝で対戦した韓国の選手で、同大会をもって韓国代表を引退するキム・ダンビに女子日本代表の選手たちが花束を贈呈。記念の集合写真を撮るなど、彼女の輝かしいキャリアを祝ったのだ。 キム・ダンビが韓国代表として国際大会でデビューを飾ったのは2010年の女子世界選手権(現・女子ワールドカップ)。稀代のシューターはそれから長きにわたりエースとして韓国を引っ張ってきた。華やかなプレーで魅了したポイントゲッターには日本も幾度となく苦しめられた。また、WKBLのチームとWリーグのチームは互いに行き来して練習試合を行うなど、かねてから交流があるため、日本でも仲の良い選手や憧れを抱いた選手は多い。 もちろん、韓国国内での人気も高く、1月7日に行われたWKBL主催の『WKBLオールスターフェスティバル』にも出場。今回は、そのオールスターにて特別に時間を割いてもらい、ファンの存在や韓国代表、また日本代表などについて話を聞いた。 インタビュー・文=田島早苗
「言葉では言い表すことのできない感情が沸き上がってきました」
――今年のオールスターは所属するウリ銀行のホームコートでの開催です。 キム・ダンビ(以下KD) ウリ銀行のホームコートでできることをうれしく思っているし、オールスター選手として選ばれたことにも大変うれしく思っています。 ――人気選手ですので毎年参加されていると思いますが、オールスターはどのような場だと感じていますか? KD オールスターは、ファンの方への感謝の気持ちやオールスターに選び続けていただいているということに対するプレイヤーとしての誇りといったことを感じる場所だと思っています。特にシーズン中にも関わらずファンの方と交流ができるすごく貴重で大切な時間になるので、このときにしっかりとファンの方たちと交流をし、コミュニケーションを取ろうと意識しています。選手同士も、ナショナルチームのときは同僚、レギュラーシーズンではライバルですが、オールスターは仲間。一緒になって来ていただいていた方たちに楽しんでもらうようにしたいと考えています。 ――昨年はWKBLの選手がWリーグのオールスターに、そして今年はWリーグの選手がWKBLのオールスターに参加しました。 KD とても意義のあることだと思います。韓国の若手選手たちが日本に行きましたが、若い選手たちが日本の文化やオールスターの雰囲気を知り、コミュニケーションを取ることは意味があるし、とても大事だと思います。今回で(オールスターの交流が)2回続いていますが、これが継続することを願っています。 ――WKBLのオールスターを見て感じたのは、韓国の選手のダンスがうまいことです。 KD あー(笑)。私は違いますよ。私は何年もオールスターに選ばれて踊っているけれど、一向にうまくならないです。若い選手は多少踊れなくても若さで踊れるような雰囲気を出しているのがすごいですよね。 ――話は変わりますが、アジア競技大会をもって韓国代表を引退。準決勝後には日本チームから花束が贈られましたが、改めてそのときの感想を聞かせてください。 KD とてもビックリしたのと同時に感謝し、とても感動しました。今まで異国の選手たちにそうやって評価をしてもらうことはなかったので驚きましたね。それまでは韓国代表として、ただただ一生懸命やってきたので、今は日本の方が上手だと思うのですが、その国の選手たちから花束をもらい、(引退を)祝ってもらったことは認めてもらった、応援してもらったと改めて感じる貴重な時間でした。日本の選手たちには本当に感謝しているし、言葉では言い表すことのできない感情が沸き上がってきました。どう言葉で表現すればいいのか分からないけれど、本当に感謝。いろんな方への感謝の気持ちが一気に込み上げてくるような出来事でした」 ――日本でダンビ選手に憧れている選手は多いです。 KD 本当ですか⁉︎ それはもっと強調して言ってください(笑)。あと、髙田(真希/デンソーアイリス)選手に長くやっちゃダメだよって、代表チームは一緒に引退しようとメッセージも伝えてください(笑)。確か彼女とは同年代ですよね。あ、でもこれは冗談です。髙田選手は『コワイ』ですから(笑)」