中国で2歳児が犬にかまれ重傷、各地で管理強化 思わぬ余波も
【東方新報】中国西部の四川省(Sichuan)で2歳の女の子が放し飼いの大型犬に襲われて重傷となり、その映像が流れて全国に衝撃を与えている。全国各地で飼い犬の管理が強化される一方、大学キャンパスに住みついていた野良犬が警備員に殺害される事態も起きている。 警察や中国メディアによると、四川省成都市(Chengdu)で10月16日午前8時ごろ、リードをつけずに路上をうろついていた大型犬のロットワイヤーが母親と一緒にいた女の子に襲いかかった。女の子は約20か所をかまれ、腎臓損傷と肋骨(ろっこつ)骨折の大けがをした。集中治療室で治療を受け、容体は安定しているという。 警察はその日のうちに犬を捕獲し、飼い主の身柄も拘束して捜査を進めている。 ロットワイヤーは警備用にも使われる大型犬。女の子が繰り返しかみつかれ、母親がかばおうとしている様子が撮影されネットに流されると、「ペットの放し飼いは許されない」「行政が取り締まるべきだ」と怒りの声が広がった。 この事件を受け、中国東部の安徽省(Anhui)合肥市(Hefei)は、「朝と夕方の時間帯、住宅や学校付近で放し飼いにされている犬を見つけたら、ただちに捕獲する」と発表。中国中部の河南省(Henan)瀋丘県(Shenqiu)では、大型犬などの飼育で規定違反があった場合に犬を没収し、飼い主に最高1万元(約20万円)の罰金を科すと表明した。このほか、行政がリードや口輪を無料で配布する動きが各地で出ている。 今回の事件で思わぬ余波も起きた。中国東北部の遼寧省(Liaoning)のある大学は10月21日、「大学の警備員がキャンパスで野良犬を殺害した」とインターネットで発表。この警備員を解雇し、大学の管理部門の責任も追及するという。この前日には重慶市(Chongqing)の大学で警備員が野良犬を追い払って死亡させ、停職処分を受けたことが明らかになっていた。 中国では野良犬が大学のキャンパスで長く暮らすことは珍しくなく、学生たちから「先輩」「学長」と呼ばれたりしている。殺された遼寧省と重慶市の野良犬も大学職員や学生らと「平和に共存」していたという。 中国では近年、ペットブームが爆発的に広まっており、ペットの犬・猫は1億匹を超えている。一方で飼い主のマナーや行政によるルールの周知が追いついていない面もあり、今回の事件と騒動はその象徴と言えそうだ。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。