「朝鮮人・中国人虐殺101年犠牲者追悼大会」開催 「政府責任を明らかに」と訴え
関東大震災の直後に民族差別により虐殺された朝鮮人・中国人を追悼する「関東大震災朝鮮人・中国人虐殺101年犠牲者追悼大会」が8月31日、東京・文京区民センターで開催。「関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年犠牲者追悼大会実行委員会」の主催で約450人(主催者発表)が参加した。 集会で参加者らは「震災翌日に戒厳令が布告され軍隊が被災地を制圧した。政府自身がデマを拡散し殺戮を煽った。6000人を超える朝鮮人、8000人近い中国人が虐殺され、同時に日本の社会主義者や労働運動の活動家も虐殺された」などの歴史を確認。悲劇を繰り返さないため「政府責任を明らかにしよう」と訴えた。会場では原資料の展示も行なわれた。 第1部の「追悼式」は黙とうで開始。田中宏さん(一橋大学名誉教授)の開会挨拶に続き、朝鮮半島・中国から出席した遺族が挨拶した。福島みずほ参議院議員(社民)、石垣のりこ参議院議員(立民)公設秘書の初鹿明博さん、宮本徹衆議院議員(共産)の順でスピーチ。杉尾秀哉参議院議員(立民)、櫛渕万里衆議院議員(れいわ新選組)がメッセージを寄せ、曺和仙さんが「追悼の舞」を披露した。 中国人遺族の周松権さんは集会の開催に謝意を表し、11年間に及ぶ日本政府との交渉の様子を報告。昨年の外務省官僚の対応を「ただ頷くだけで上層部に伝わるのか不安があった」と前置きして「日本政府が歴史を改竄し隠蔽することは決して許されない」と、後ろ向きな政府姿勢を批判した。
虐殺の歴史抹消するな!
第2部は「関東大虐殺の責任をただす集い」。追悼大会実行委員会の藤田高景事務局長が「政府は昨年、100年前の虐殺責任を糾す野党の国会質問に虐殺の歴史を抹殺する答弁を繰り返した。それは安倍政権の時からだ。この国の政治を大きく変えねばならない」と述べてスタート。続いて川口正昭さん(旧「群馬の森追悼碑を守る会」共同代表)が、今年初めに群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」にあった朝鮮人労働者追悼碑が県の行政代執行で撤去された経緯を報告。「政府は政治の力で歴史を改竄した」と批判した。 山田朗さん(明治大学教授)は「日露戦争と植民地支配を関係づけて考える必要がある」と述べ、虐殺に至るメンタリティの形成について分析。「関東大震災を契機に民衆暴力という形での暴発が、治安維持法公布でシステム化され戦争に至った」と述べ、当時と類似する現状に警鐘を鳴らした。 有田芳生さん(ジャーナリスト)は、ヘイトスピーチという概念をメディアが広めて政治を動かし条例制定に至った経緯を述べ「包括的差別禁止法可決のためには政治を変えなければならない。選挙が近くある。新しい日本をつくるチャンスを生かそう」と呼びかけた。
薄井崇友・フォトジャーナリスト