ウラル山脈を望むバシコルトスタン共和国。東西の文化が融合する国だ
世界最大の国土面積を有するロシア連邦。その広大さゆえに多くの民族、文化が共存している。モスクワから東へ約1000km、ヨーロッパとアジアの地域を分ける境界線とも言えるウラル山脈の南部に位置する、東西の文化が融合するバシコルトスタン共和国を訪ねた。
ロシア連邦に属する共和国の一つバシコルトスタン共和国の人口は約400万人。そのほとんどが首都ウファを含む主要都市や町に暮らしている。民族はロシア人についで先住民族のバシキール人が多く、町の看板や標識はほぼ、ロシア語とバシキール語で表記されている。 ウファの町のお土産屋さんをのぞいてみた。ショーケースの向こうにはちょっと上品そうな女性店員が一人。やはりここはロシアだ。数ある民芸品の中にマトリョーシカの人形も並んでいる。気になった人形を見ていると、それを出して見せてくれた。胴体を割ると中から次々と出てくる人形。「へーえ、こんなに入っているんだ」としばらく大小6体並べられた人形を眺めていると、一番小さい人形からもう一つ取り出しておどけて見せてくれた。その仕草は品物を勧めるというより、異国から来たお客とのコミュニケーションを楽しんでいるようだった。
以前あるロシア人が口から「ロシアの人はいつも険しい顔をしていてあまり笑わないと思われがちだが、そんなことはないんだよ」という聞いたことがある。言葉がまともに通じなくても、フレンドリーな対応をしてくれたお土産屋さんの女性店員に、ちょっとホッとするとともに一気にこの国に愛着が湧いてきた。(つづく) ※この記事はTHE PAGEの写真家・倉谷清文さんの「フォト・ジャーナル<バシコルトスタンの旅>倉谷清文第13回」の一部を抜粋しました。 (2018年9月撮影・文:倉谷清文)