伊メディアは本田のサングラスに注目
「こりゃ1面にするしかないだろう」 『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙のミラン番記者たちが特別会見場を出たとき、彼らはもう翌日のトップ記事を勝ち取ったことと確信していた。 8日、本田圭佑のミラン入団会見が、本拠地サンシーロで行われた。20台以上のTVカメラや200人を超える日伊双方の報道陣が会場を埋め尽くした。TVメディアによる速報の後、翌日のイタリア各紙もHONDA一色に染まった。 最大の発行部数を誇る『ガゼッタ~』は、特製ロゴやイメージビデオまで制作した入団会見を「ベッカム入団時にすらなかった特別待遇。まさにスーパースター級」と報じた。1面トップ紙面と巻頭特集で、本田のコメントを引用しつつ「自らの仕事を熟知するプロ」と評価した。 会見後の練習で、MFカカやFWバロテッリら新チームメイトたちと親睦を深めた本田の写真を掲載する一方、日本代表の盟友・長友佑都(インテル)の歓迎コメントも紹介。さらに、リベラやフリットなど背番号10を背負ってきたクラブ歴代の名手たちについての解説記事を並べ、本田にもサンシーロを熱狂させる義務があることをあらためて知らしめた。 『コリエレ・デッロ・スポルト』紙は、本田の小学生時代の作文を引用しつつ、「12日のサッスオーロ戦でベンチ入り、15日のスペツィア戦で先発か」と公式戦デビューを予想している。本田がつねにサングラス着用であることに注目したのは、一般有力紙『コリエレ・デッラ・セーラ』だ。会見内容を大々的に扱いつつ、囲み記事で本田を「“東洋のベッカム”は、サングラス・マニア」と指摘した。 『レプッブリカ』紙は「すでに本田レプリカユニフォームが飛ぶように売れ、日本からの試合観戦ツアー申し込みも殺到中」と、本田獲得の商業的成功にスポットを当てた。名門ミランは、昨今の低迷とそれに伴うメディアアピールの減少に頭を悩ませていた。 かつてないほどの規模で入念に準備を重ねた本田の入団会見は、生中継された日本だけでなく、イタリア国内にも大きな注目をもたらした。メディアへのインパクトという最初の成果はすでに出ているのだ。 本田は「獲るべきはスクデットとチャンピオンズリーグ」と会見で口にした。その言葉が現実になるとき、イタリア・メディアはこぞって1面を本田へ差し出すことだろう。 (文責・弓削高志/イタリア在住ライター)