真田広之の凛々しい戦国武将姿に喝采 ハリウッドが本気で描く“戦国日本”と壮大な映像美に目を奪われる<SHOGUN 将軍>
真田広之が主演&プロデュースを務めハリウッドの制作陣が手掛けるドラマ「SHOGUN 将軍」(全10話/初回は2話配信その後毎週1話ずつ配信※最終話は4月23日[火]配信予定)の第1、2話が2月27日(火)、ディズニープラスのスターで配信される。戦国時代の日本を舞台に、ハリウッドらしいスケールの大迫力映像と、細部までリアリティーを追求したキャスト陣の演技を兼ね備えた本作。真田が「あらゆるものをこの作品に注ぎ込んだ」と語った通り、完成度の高い作品に仕上がった。見る者を一気に戦国の世界へといざなう第1週を一足先に視聴し、その魅力をレビューする。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】圧倒的なリアリティ!真田広之“虎永”、二階堂ふみ“落葉の方”ら7人の戦国衣装カット ■ハリウッドが本気で描く戦国日本の物語 「SHOGUN 将軍」は、戦国の日本を描いたジェームズ・クラベルのベストセラー小説を原作に、「トップガン マーヴェリック」の原案を手掛けたエグゼクティブプロデューサーのジャスティン・マークスをはじめハリウッド制作陣が手掛けた戦国スペクタクル。まさにハリウッドが本気で描く、戦国日本の陰謀と策略の物語だ。 徳川家康をモデルとした戦国一の武将・吉井虎永を演じるのは、ハリウッド俳優の真田。加えて、虎永と運命を共にする英国人航海士ジョン・ブラックソーン(のちの按針)をコズモ・ジャーヴィス、細川ガラシャをモデルとしたキリシタン・戸田鞠子をアンナ・サワイが演じる。また、虎永の家臣で憎めないキャラクターの樫木藪重役で浅野忠信が、虎永と天下の覇権を争う敵将・石堂和成役で平岳大、虎永の腹心・戸田広松役で西岡徳馬が出演する他、すべての日本人キャストを日本人が演じている。 ■「SHOGUN 将軍」あらすじ 戦国最強の武将・虎永に敵の包囲網が迫っていたある日、ジョン・ブラックソーンが虎永の領地に漂着。虎永はブラックソーンを按針と呼び、語学に堪能なキリシタン・鞠子にその通訳を命じる。 次第に按針と鞠子の間には固い絆が生まれ始める。一方で按針を利用して窮地を脱した虎永は、按針から世界を見聞きし、幾度も命を救われることで彼を侍の地位に取り立てる。覇権を狙う五大老たちとの闘いの中、絶体絶命の危機に追い詰められた虎永は、乱世を制するため、按針と共に壮大なる謀りごとを練り始める。 ■徹底した所作指導で作り上げた「SHOGUN」の世界 第1、2話を視聴してまず目を奪われたのは、とてつもなくスケールの大きい映像美だ。1話冒頭で難破船が霧の中から亡霊のように姿を現すシーンや、荘厳な大坂城の門をくぐり虎永が入城するシーンなど、映像はどれもダイナミックで、大スクリーンで見ているかと錯覚するほど。ブラックソーンを乗せた船が大坂へ向かう途中で大嵐に出くわすシーンでは、船体が激しく揺れて船内に大量の水が押し寄せては吐き出され、ハリウッド作品ならではの臨場感が味わえる。 だが物語の舞台である日本の描写は実に繊細だ。所作指導も含め時代劇の経験豊富な日本人スタッフが多数参加しているといい、セリフまわしはもちろん日本刀の扱いや着物の裾さばきなど、細かな所作にも違和感はまったくない。 ■“日本の文化を正しく世界へ紹介したい”という思い 真田も「専門家の監修の下、俳優陣をはじめエキストラに至るまで訓練を重ねて撮影に臨みました。女優陣も、歩き方から障子の開け閉めに至るまで訓練を受け、現代的もしくは西洋的にならないよう、伝統的な所作を再現することに努めてきました」と話す通り、日本人キャストにも徹底した所作指導を行ったこだわりが細部にまで行きわたっている。まさに“神は細部に宿る”。真田が追い求め続けた“日本の文化を正しく世界へ紹介したい”という思いが、障子の開け閉め一つに至るまで貫かれている。 その一方で、海に見立てた枯山水を船が行くタイトルバックや、ブラックソーンが白洲の砂に世界地図を描きながら話をする場面など、日本らしい情景を自由な発想で生かした表現も面白い。 キャスト陣も魅力的。まず、真田が演じる戦国武将姿が凜々しく、重厚でかっこいい。浅野忠信や平岳大、西岡徳馬、二階堂ふみら時代劇を経験してきたキャスト陣の凛とした存在感も見ごたえがあり、2話で描かれる虎永と刺客の死闘などアクション俳優・真田をはじめキャスト陣によるキレのある殺陣も見どころの一つだ。 ■絡み合う宿命…按針、鞠子から見た“戦国日本” 特にユニークな点が、イギリス人航海士ジョン・ブラックソーンの存在だ。 ストーリーは、ブラックソーンの視点を通して進んでいく。細長い刃物を振り回し、裁判もせず平気で人の命を奪う者たちへの驚きと恐怖…。何の予備知識も持たないブラックソーンの視点で描かれる日本は日本人の我々にとってもどこか新鮮で、ブラックソーンが一つ一つ日本の言葉やしきたりを覚え“按針”になっていくにつれ、彼と一緒に日本を再発見するような不思議な感覚が味わえる。 サワイ演じる日本人・鞠子が、それを可能にしている。戦国一の武将である虎永と、日本をまったく知らないブラックソーン。2人の間に鞠子が通訳として入ることで、多くを語らない虎永の思惑を読み解きながら、ブラックソーンの日本に対する疑問を受け止める。鞠子は言葉のやりとりだけでなく、五大老たちの思惑が絡み合うストーリーを分かりやすく視聴者に伝える役割も担っているのだ。 ■3人の宿命が絡み合って物語が動き出す 「宿命がわしらを結び付けたのじゃ。そなた(鞠子)とわしと、そして潮目を変えるやもしれぬその異人(ブラックソーン)とも」。虎永のこのセリフから、すべてが動き出す。この“宿命”は本作を貫くキーワードであり、ブラックソーンが最初に覚える日本語の一つでもある。3人の“宿命”が絡み合い、戦国日本の勢力図が大きく動いていく。 真田が「今まで自分が培ってきた、学んできたあらゆるものをこの作品に注ぎ込める喜びもありました」と語る通り、この作品には「ラストサムライ」(2003年)から20年抱き続けた彼の思いが込められている。日本人にこそ見届けてほしい、ハリウッドスケールの戦国スペクタクルの誕生だ。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部 ※西岡徳馬の「徳」は心の上に一本線が入るのが正式表記