ケーキ値上げでも食べたい 材料高騰...菓子店、苦渋の値上げ
物価高の影響が、クリスマスケーキにも及んでいる。材料となるイチゴや卵などが想定以上に高騰し、店舗では値上げを余儀なくされている。 「購入者にクリスマスを楽しんでほしい」。現場では値段を抑えようと試行錯誤が続いている。 「イチゴなどが想定外に値上がりしている。企業努力は続けているが、値段を上げざるを得ない」。福島県福島市の和洋菓子店「菓匠 清泉堂」の斎藤隆一社長(53)は苦しい胸の内を語る。今年のクリスマスケーキは8種類で、その半数にイチゴを使用。農家から厳しい成育状況を聞いていたため仕入れ値が上がると予想し、例年より100~500円程度の値上げに踏み切って告知した。 鳥インフルエンザ感染拡大の影響で、卵が値上がりしていることも大きな逆風という。ケーキの値段を抑えるため、見た目に影響の出ない範囲でイチゴの量を調整したり、イチゴを使わないケーキを新たに加えるなど工夫を凝らす。斎藤社長は「クリスマスを楽しく幸せに過ごしてもらうため、企業努力で踏ん張っていく」との思いだ。 いわき市の菓子店「お菓子のみよし」はクリスマスケーキの予約価格を200~400円値上げ。イチゴや卵だけでなく、小麦や砂糖の仕入れ値価格も高騰し、ここ数年は毎年値上げせざるを得ない状況という。吉田勲社長は「(切り分けた)ピースで購入する人が増えてきたという変化もあるが、ホールケーキの予約数は年々減っている」と話す。 イチゴ農家も苦しい状況が続く。伊達市のイチゴ農家の大橋松太郎さん(40)は、例年よりもイチゴの販売価格を約10%値上げした。最低賃金の引き上げに伴う人件費の上昇に加え、栽培に用いるビニール資材やビニールハウスの鉄資材、肥料などの値上がりが影響しているという。大橋さんは「必要最低限の道具を購入していても、値上げしないといけない現状」と明かす。
消費者「年に1度」
消費者側の各家庭でもさまざまな対策を考えているようだ。福島市の女性(41)は「年に1度なので、例年通り買う予定。普段の食生活を節約して費用を捻出する」と話す。同市の女性(44)も「今年はチキンやケーキなどをセット売りしているものに変え、ケーキ屋で買うよりも安く抑えるつもり」としている。
福島民友新聞社