東京都内「ネズミ」増殖が止まらず、マンション上階も標的に…家庭で対策しても「完全駆除が困難」な絶望的現状
家庭でネズミを駆除する方法
奥村氏が解説する。 「家庭で駆除する方法は大きく2つあります。 ひとつは薬剤の入った餌で駆除する方法です。最近、効果の高い製品が販売されていて、ドラッグストアやホームセンターの園芸コーナーなどで求めることができます。 もうひとつはかごわなを使用する方法です。 ただし、それぞれに問題があります。薬剤による駆除はどこで死ぬかが分からないので死臭がしたり大型のハエが大発生するケースがある。 わなを使用する方法ではエサを設置して生きたまま捕獲するのですが、次のステップとして”殺す”があります。水責めにして殺すのはかわいそうでできないのならとやめておいたほうがいいです」
マンションでの駆除には厄介な問題も
昨今急増しているマンションでの駆除の場合はさらに厄介な問題があるという。 「マンションは気密性が高いので部屋に侵入することはまれです。ベランダなどで見かけるときは、廃棄物保管庫を餌場にして繁殖している可能性があります。 ごみの搬出は曜日が決まっているはずなので、長時間置かないルールとしてその合間に餌剤を設置するとこれを食べて駆除できたり、換気扇や排水溝などに侵入防止対策するなどがあります。 これらのルールづくりは理事会や自治会の役割です。まずは居住者の合意形成が必要になるでしょう。その意味では、単にネズミ対策というより、マンションの場合、人の問題という側面もあるといえます」(奥村氏) ちなみに、哺乳類は鳥獣保護法で守られているが、ねずみ全般は環境衛生の維持に重大な支障を及ぼす恐れがあるため対象外で、許可なく駆除することが可能だ。 前出のAさんは、ネズミが忌避するハッカ臭のスプレー、唐辛子、電磁波・超音波を発信するネズミ除けグッズを買い込んで、発生場所のベランダに包囲網を構築。数日は効果があったが、いつのまにか再出没し、そのしつこさに頭を抱えているという。
学習能力高く、駆除困難
「クマネズミは警戒心が強くとても学習能力が高いので、わなを仕掛けても避けて歩行します。殺鼠剤が有効ですが、これも繰り返すと警戒心を高め、効果が出づらくなります。重要なことは、その行動パターンを観察し、効果の高い方法を考える視点です」(奥村氏) ネズミの語源は「根盗み」が転じたものともいわれている。住民の安眠時間、生活空間内のクリーンさ、対策に要する時間などを夜な夜な”盗む”厄介な小動物。都内にはもはや定着し、撲滅は困難ともいわれており、焦点はいかに “寄せ付けない”環境づくりを徹底するかになっているという。 都内に居住していれば、こうしたネズミ被害以外の問題も山積している。高齢化による家屋の管理不備等もネズミ増殖に関係しているといわれ、今後もしばらくは、ネズミに関する相談件数が落ち着くことはなさそうだ。
弁護士JP編集部